場ちがい
場ちがい気分満載だ
「生きづらくなったきっかけはなんですか?」
きっかけなんてあったろうか
奔放な母と
イラつく父
部屋の間取りは思い出せない
すなおじゃないと叱られ
いじけることで慰めていた
生きづらくない人生などあるのだろうか
結婚し
子に恵まれ
働き
介護をして
また働き
ああ、特別なことはなにもない
わたしもふつうに
足りないものを持ちながら
泣いて笑って
「ここはどうしても必要なので」
受付の女性が困り顔で言う
忘れっぽい頭から
しぼり出したのは
いじめっこの顔
同僚のいやがらせ
そう、そんなことはあった
待合室の白い壁には
抜けるような空と
ガラスの海原を
どこまでも分ける水平線
これで気持ちが安らぐのかな
「次の方、どうぞ」
場ちがいをもてあましたまま、座る
「ほんとにたいしたことはないのですが
家族が行けというものだから」
困った風に言い訳をしていたら
りっぱな診断名と薬をもらった
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