遥か遠く燃ゆる火を見ていた
たなびく煙は春の色
桜の散るにあわせ揺らめく
幽遠なるを、夢に見る

わたしの知らない焔があった
紫陽花は梅雨に濡れ
足りない体温を燃やして
火花を散らす、言伝を聞いた

視界の端で篝火が燃える
誰の掲げた狼煙かも知らず
蒼穹だけただ、澄み渡り
微かに煙る匂いがしていた

あなたの裾を焦がす野火
茜に染まる 枯野の絨毯
見下ろす景色はくれないに
祈りの爆ける音がしていた

冷たい雪が降っている
燻る火種は行く当ても知らず
互いを燃やしあっている
その様をただ、見つめていた

春の山に昇る煙
気付いてしまった
わたしの炎だ
髪の燃える音がする

揺らめく春の夜の夢
 桜の花が、
 地に落ち、
燃えた

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