曖昧な摩擦

曖昧な摩擦
ずれていく
わたしの輪郭
優しい水に包まれ
隣ではきみの輪郭も
ずれている
水の中にも星はあった
わたしはオリオン座を
探すのが得意だった
あれか、という
きみの指先は
いつもふやけていて
熟した梢みたいに
綺麗な匂いがした
水の中にも雨は降った
雨は湿った音を立てた
言葉に置き換えると
それは賑やかな
おしゃべりになった
水面に初夏が来ていた
わたしは蝉の話をした
蝉なんて知らない
ときみは言った
わたしも
知らないと言った
きみとわたしは
触れ合うこともなく
いつまでもずれて
けれど
いつまでも、と
言うことはなかった

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