ミントの鉢
出窓に置いた
ミニ観葉植物
ポトス
アレカヤシ
パキラ
ワイヤープラント
ガジュマル
そして
ミントの鉢
みんなカタカナの
名前だから
誰もいなくなると
午後の浜辺で
キラりと光る
ガラス粒の話を
カタカナで
するらしいよ
自分は石英だと
思っていたら
実はガラスだった
という話
これを教訓に
それぞれわが身を
振り返ってみたら
ポトスは実は
アレカヤシ
アレカヤシは実は
パキラ
パキラは実は
ワイヤープラント
ワイヤープラントは実は
ガジュマル
ガジュマルは実は
ポトスだったことが
判明した
みんなは少しの間
パニックになったけど
それじゃあ
ミントは何?
誰かが言い出して
その場に沈黙が流れた
もとよりミントは
観葉植物というより
お菓子に添えたり
料理のアクセントにしたり
オイルを採ったり
みんなの中で
浮いた存在だったから
いずれこうなる事は
分かっていた
やがてミントは
神妙な面持ちで
実はぼくは
うす暗いJR高架下の
打ちっぱなしの
コンクリート壁に付いた
水滴なんだよ
と告白した
きみは偉いなあ
みんなはしきりに
感心している
水滴のぼくは
やがて蒸発して
ひつじ雲になったり
遠くの町の道標を
白く煙らせる
霧になったりするんだ
そしてミントは
これまで旅した
空や海や山や
町や都会や
キスしてくれた
少女の話をした
みんなは感激のあまり
むせび泣いている
不覚にも
私も少しばかり
もらい泣きして
しまった
コメント
カタカナのもつ
透明感のあるつれなさが
とても心地好かったです。
nonyaさん、コメントありがとうございます。はじめまして。
心地好かったとのお言葉、感謝しております。これからもどうぞよろしく。
絵本みたいで可愛らしい世界観ですね。
あぶくもさんはじめまして。コメントありがとうございます。可愛らしいですか?
私のルックスは可愛らしくないのでw、そう言われるのはなんだか嬉しいです。ミニ観葉植物が可愛らしいのでこんな感じになったのでしょう。実は最後のところは笑いを取りたかったのですが、イマイチ上手く書けていないようです。
読む楽しさに溢れた詩ですね。言葉遊びの面白さがあって、ラストは、少し切なくて。…ミントの水滴。
長谷川 忍さん、コメントありがとうございます。
ラストは切なさがありますか(少し)。うう、笑いが取りたかったのに…。これはちょっと自分を見つめ直さねばw。長谷川さんのように自前の写真でないのが少々心苦しいです(フリー素材から)。
カタカナも涙もまたたいていて素敵でした。
たちばなまことさん。コメントありがとうございます。
「素敵」はたちばなさんの作品に倍返しさせていただきますね^^(けっこう読んでます)。ありがとう。
普遍性を宿した詩になっていると思います。
そして、この詩の空気感が好きです。
こしごえさん、コメントありがとうございます。
「普遍性」「空気感」と、嬉しいお言葉です。これからもどうぞよろしく。