紫陽花の涙掬い
紫陽花の中で泣いていたお前を
小生はいつまでも見ていた
慰めもせず同情もせず
ただ床の間で菓子を用意した
お前はいつまでも
紫陽花の中で泣いていた
菓子なぞいらぬと言いながら――
お前はいつまでも
知らぬふりして
小生を見やしなかった
優雅に咲く萼は
お前の涙を掬い取って
静かに地面に降ろしていた
降る雨はいつまでも
お前の近くで見守っていた
蛞蝓のようにお前から嫌われていた、
ある知り合いが顔を出し
お前の隣に立って
何かを囁いて――
小生はそれを見ていた
何もできぬ自分は
最悪だとも嫌な奴だとも
そのようなことは思わずに
ただ泣いているお前を見て――
…小生はいつまでも
泣いているお前を、
“観る”ことしかできぬ――――。
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