
ナヌルベート
岸和田の城さんの家では、小鳥が親密である
守護神のテクノスは、貝原益軒に師事したと言うのである
ハニカム構造の家の二階では、客室が丸い
蘇鉄の繁茂する屋上では、ニシン漁が最盛期を迎えていた
統計学の進歩する地上の一部では、濃度によって精神がクラッシュする
ナヌルベートの職員たちは、永遠に報告書を書こうとしない
えびの高原の龍さんは、恋人の背骨を愛するのだと言う
最大の高原では、イタリアのソファーがわたしを待っている
赤い虫の背中に知恩院の鐘の音が鳴り響くばかりで
駆け出した君のオードチュクチューレが万民の怨嗟を聞くばかりで
すみやかなカンタビレのヤマト願真探が、薬師如来に短歌的にすりよれば
モダンである〈かのと〉うしのころ、バイオ研究所は人事異動的である
寿限無のことわりの、シャンゼリゼのコノハチョウの北風に自身を隠すのであれば
抱一は秋の草に大和だいだいいろのツタの葉を描くと言う
やすりをかける君の手は、しだいに苦悶の表情で
言わばテキサスの野牛の角笛のオンタリオ湖にかわうそたちが上陸する
巨大都市の夜間の電気が、ロボットたちの背中から充電するから
人間的にはそのコチジャンを火傷しない舌で味わう権利を有する
とても広い脳髄の原野に、抽象的な自己の観念が伸びる
オリーブオイルと尺玉花火の夜空にフライパンを振るメロディは
元祖チチカカ湖料理のシェフである
湖の巨大な魚の腹をさばいて、真珠を取り出している
そのまま口に入れて、さわやかな味わいを楽しむのは
シェフの特権である
ナビブ砂漠に気球が不時着して、かの紳士は葉巻をくゆらせている
コンスタンティンノーブルの非常階段には手すりが欠落している
やや強い台風の風に押されて、雨が斜めに降る
このナヌルベートの菱形の多重集合店舗の各階では
世界的に有名な歌手がミニコンサートをする
できるだけ音響には注意が必要である
近くを流れる熊笹川の〈あゆ〉たちが、斜めに走る
その身体に流れる水流の永遠に音量をあげている
かつまたライオンの雄たけびの澄み渡る夏空に
諸王は〈けつまくえん〉を理由に
ながく政治の杖を振らないのである。
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