幽霊

夜、私の部屋に来る者は
大抵、足が無い
幽霊なのか聞くと
ほとんどの者は
違う、と言う
壁をすり抜けたことを指摘すると
量子力学では確率はゼロではない
そんな講釈を垂れるけれど
誰も詳細を説明できない
目出し帽の男に包丁を突きつけられ
金を出せと脅されたことがあった
刺されてはたまらないと思い
お金を用意し振り向くと
男はもういない
泥だらけの足跡があったから
足のあるタイプだったのだろう
ある日、霊能者を名乗る女が訪ねてきて
いろいろとお困りでしょう、と言う
夜の訪問者の話をすると
お祓いをしてくれることになった
さあ、これから、というところで
女は消えてしまった
自分自身もお祓いの対象だと気づいたのだ
今夜は三人来た
一人は壁に向かってずっと独り言を呟き
一人は上司の悪口を延々と訴え
一人は私から受けた生前の恩について
ひたすら感謝の言葉を述べてくれたけれど
見たこともない男の人だった
夜が白々と明け
皆、消えていく
勘の良い人はお気づきと思うが
お見込みのとおり
家の者が起きる前に
私も消えていく

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