耳の奥にきみを飼えたなら

原石のきみは
当たり障りのないコピー用紙で
紙飛行機を作って
雨の中飛ばそうとして
でも飛ばないから抱きかかえたまま濡れている

加工済みのわたしは
予定で埋め尽くされたカレンダーを
穴が開くほど見つめては
どうにかならないかと考えあぐねいて
でもならないからきみの腕にしがみつく夢を見る

やさしいきみは
痛みや
カルミアピンクボールや
音楽や
お姫様や
鎖骨を愛し

やさしくないわたしは
高揚や
マーガレットや
夜の冷たさや
おとこのひとや
声を愛す

子宮の疼く感覚を言い表せられなくて
ただただくり返す質問

耳の奥にきみを飼えたなら
いますぐにでも
春を起こすのに

*

投稿者

大阪府

コメント

  1. やさしくない人のやさしい詩は魂に響きますね

  2. やさしい人とやさしくない人(それが謙遜でも)とではどうしてもやさしくない人に言いぶんがある。
    どちらもがお互いを見ているようで、実は見てるものが違ってるのだろうか。

  3. 絶妙なワードセンスがたまらないです。音楽と鎖骨が好きな私はやさしいけど、高揚も夜の冷たさも好きなので多分やさしくないんですね。

  4. 最終連に向かう盛り上がり方が心に残ります。

  5. ああ、これも好きだなぁ。
    絶妙な言葉たちだねぇ。
    最後に向かう構成もとても良かったです。

  6. よいなぁ
    よいなぁ

  7. みなさん、コメントありがとうございます!

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