耳の奥にきみを飼えたなら
原石のきみは
当たり障りのないコピー用紙で
紙飛行機を作って
雨の中飛ばそうとして
でも飛ばないから抱きかかえたまま濡れている
加工済みのわたしは
予定で埋め尽くされたカレンダーを
穴が開くほど見つめては
どうにかならないかと考えあぐねいて
でもならないからきみの腕にしがみつく夢を見る
やさしいきみは
痛みや
カルミアピンクボールや
音楽や
お姫様や
鎖骨を愛し
やさしくないわたしは
高揚や
マーガレットや
夜の冷たさや
おとこのひとや
声を愛す
子宮の疼く感覚を言い表せられなくて
ただただくり返す質問
耳の奥にきみを飼えたなら
いますぐにでも
春を起こすのに
*
コメント
やさしくない人のやさしい詩は魂に響きますね
やさしい人とやさしくない人(それが謙遜でも)とではどうしてもやさしくない人に言いぶんがある。
どちらもがお互いを見ているようで、実は見てるものが違ってるのだろうか。
絶妙なワードセンスがたまらないです。音楽と鎖骨が好きな私はやさしいけど、高揚も夜の冷たさも好きなので多分やさしくないんですね。
最終連に向かう盛り上がり方が心に残ります。
ああ、これも好きだなぁ。
絶妙な言葉たちだねぇ。
最後に向かう構成もとても良かったです。
よいなぁ
よいなぁ
みなさん、コメントありがとうございます!