儚き火
どこに浮かんでいるやも知れぬ
しゃぼん玉の中の
微小なる世界
いつかしゃぼん玉とともに弾け
無に帰すであろうに
天から降る虹色の飛沫は
しゃぼん玉の謎の欠片
僕は精一杯かかとを上げて
空へと腕を伸ばす
雪の結晶のように
手の平に届いたと思えば
しかと見定める前に
消え失せるであろうに
一目盛りさえ推し量れぬ
儚き時間でさえ
安寧に健やかに過ごすことは
何と困難であろうか
何かを成し得たい此の気持ちは
この火を消さず届けようと
ゆらめく蝋燭の灯を手で覆いながら
行き先も知らず
何の使命かも分からず
それでいて
急ぎ足であるのと似ている
しゃぼん玉の謎も解けぬまま
僕はこの世界から
いつか消えるであろうが
それは一粒の飛沫の消滅と
そう変わらぬことであろう
僕は見届けることはできないが
どこかへ届けられた儚き火は
いつまで灯り続けるのだろうか
コメント
この詩を拝読して、あらためて思いました。
不安は、尽きませんね。でも、だからこそ、生きて行こう、と思えるの かも しれません。どこから来て、どこへ行くのかも分からずとも。いのちは、生きたがっている、と。
この詩には、物事を考えさせる 力 が、あるのだと思います。
野鳥俱楽部さん、すてきな詩を 書いてくれて、ありがとうございます。