玲瓏剔透グライダー
全長6メートル 全幅30メートル
カーボン アルミ ポリプロピレン
堂々たる肢体の
キミは アルバトロス*
てっぺんを駆け
飛び出し 急降下
海面スレスレを 滑るように
突如、 風上へと身を翻す
風を喰らい 風を孕み 急上昇
ダイナミック・ソアリング*
肺を空(から)にして 空(そら)を肺に満たす
過換気——浅い息の連続が
意識の底を突き破る*
キミが溢れ キミが光を包み込む
光は波であり
空は波と風の間にだけ存在する
一枚の薄いガラスの膜になる
【 脚注 】
アルバトロス:
アホウドリ。和名に似合わぬ驚異的な能力を持つ。一度も羽ばたかずに1万5千キロ以上(日本から南極まで!)を飛ぶとされている。
ダイナミック・ソアリング:
羽ばたかずに滑空する飛翔方法。
意識的な過換気:
コリン・ウィルソンは、過換気が人間の意識を高め、覚醒(至高体験)をもたらすトリガーになると言及している。
コメント
日本WEB詩人会の公認お題企画が月1ペースで始動しました。
9月は以下の通りです。
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Vol.1お題
『玲瓏剔透グライダー』
※二重鉤括弧は含まれず
投稿期間は9/18(金)〜9/22(火祝)です。
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詳細や今後については公認掲示板のお題スレッドでご確認下さい。
https://rara.jp/poekai_2021/
キミは アルバトロス*
という例えから、
肺を空(から)にして 空(そら)を肺に満たす
この一個の生命体 になる詩の構成が見事です。
キミが溢れ キミが光を包み込む
光は波であり
空は波と風の間にだけ存在する
一枚の薄いガラスの膜になる
そして、最終連のここ。
絶妙な光の表現が、とても美しいです。
あと、注釈が、読者に優しい こころづかいだと思います。
最後の連、物理学的な観点を詩的な視点に昇華させたのが、素敵です。
@こしごえ
丁寧に読んでくださり、コメントもいただきありがとうございました!
@ノラスケ
視点の変化に着目してくださり、コメントもいただきありがとうございました!
優雅な切り口。パニック性の過呼吸の経験ありますが、確かに苦しさと共に空を飛ぶような気持ち良さがありましたねえ。
@トノモトショウ
題をもらって最初に浮かんだのが「鳥人間コンテストみたいなもので、大空を飛ぶ間に操縦士がハイになって過呼吸となり、意識の覚醒が起きた」みたいなイメージでした。そこからコリン・ウィルソンの説が思い出されたわけです。コリンは自らそれを実験してみたわけですが、危険を伴いますので故意に行うことは薦められません。パニック発作なら仕方ないですよね。そうですか、やはり気持ち良さもありましたか。参考になります。コメントありがとうございます!
コリン・ウィルソン…調べると大変興味がわきました。映像的。アルバトロスの実況中継か、特攻隊みたいな感じか…とにかく最後は何か違うものに、すべて交じり合ってしまったんだと思いました。そして最期の静けさ。
@花巻まりか
「実況中継から始まり最後はすべてが交じり合い違うものになった静けさ」との評をいただき、ありがとうございます!
なんかこの詩のことを自分の言葉に変換して感想を述べることが勿体ないです。
とてもとてもすてきです!
この詩の中に意識を向けて風を受けて飛んでみました。(自分がかっこよくなった気持ちになりました)
過呼吸は経験がありませんが、あの息を吐けない感じのもっと苦しいものなんでしょうか。
そういえば極端にハイになったこともないのでそちら側は経験してみたいです。
@たちばなまこと
詩の中の情景に入って一緒に飛んでくださり、とてもすてきと感じていただき嬉しいです。コメントありがとうございました!
自分の力で飛んだら、こういう感じなのかと!臨場感、わくわくしました。上手く気流にのれた最終連、安堵と、無心と、空と自分の境がなくなるような。飛べたらなあ…、憧れがつのります。
読んでて鳥人間コンテストに捧げる青春を思い浮べました。自力で飛べるならば肺、いやハイになれる。
僕らが空と呼ぶものはコスモの内ではほんのわずか。その薄っぺらいところを飛び回るだけでどれほど人類は自由と達成感を感じることができるだろうか。
私はたまに自力で空を飛んでいる(スーパーマンかよ笑)夢を見ます。それは気持ちのよいものです。人間は密かに鳥に憧れているのでしょうね。野鳥倶楽部さんのハンドルネームのように。コメントありがとうございました!
@王殺し
トノモトさんへの返信に書きましたように、まさに最初に思い浮かんだイメージがそれでした。王さんが言われる通り、空は宇宙から見れば「薄っぺらい」膜に過ぎないですね。コメントありがとうございました!
詩は科学でありたい、私はいつもそう思ってます。ノーベル物理学賞を受賞された湯川先生もそういえば「詩と科学」という本を執筆していたような。
この詩の質感、手触りはたまりません。
出遅れましたので新しい投稿から遡ってようやくここまで辿り着きましたが、鳥人間コンテスト!実は私も同じイメージが浮かびました。ヤバい呼吸法でも良いからみんなハイになりたいんだね、きっと。
@たけだたもつ
確かに、自分も科学者の端くれですので常々詩に科学的なエッセンスを加えたいなと思っています。コメントありがとうございました!
@あぶくも
昔コリン・ウィルソンに凝り、彼の著作をあらかた読んだ時期があるんです。今回それを少し使うことができてよかったです。コメントありがとうございました!
爽快さとどこか物悲しさと。こんなグライダーに乗ってみたいなあと思いました。
音楽が流れてきそうです。
@あまね
二連目の爽快さに対して、玲瓏剔透からくる美しく儚げな印象を受けた最終行の「薄いガラスの膜」から物悲しさを感じていただけたのかもしれません。コメントありがとうございました!