予感

倒れた街灯に群がる鳥達
古い記憶がけぶる雨の午後に
羽根を一振りして雨粒を散らし
海に向かって飛び立って行く

あのひとのうなじの
仄かな香りを鳥達は紡いでいる
遠い海の流木に降り立ち
濡れた羽根を休めながら

時の空洞に流れ着きたいと
憧れをまさぐる黒髪のほつれが
鳥達の嘴が指し示す夜へと傾き
思考は闇にほどけてゆく

あのひとの頬紅が溶け落ちて
一滴ずつ滲みてゆく夜の無音を
鳥達はまた啄ばみに来る

紺色の果汁を振りほどく刻限
ヒタヒタと迫る夜明けに慄き
鳥達が叫び声を上げる

炎の予感
モノはみな透明になれ

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

投稿者

広島県

コメント

  1. イチカワナツコさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
    あんまりすごくないんですけどね^^)ゞ ただいま修行中デス。これからもよろしく。

  2. 「モノはみな透明になれ」
    最終連がまぶしくて、とても好きです。

  3. nonyaさん、コメントありがとうございます。「好き」のお言葉、励みになります。

  4. あああさん、コメントありがとうございます。「かっこいい」なんて、決して短くない人生で言われたことはゼロとは言わないけどヒッジョーーーォにマレ。う、うれしいなぁ~~~(涙)。

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