アフロディーテ

   
   
   
   
   
一週間前のきみはアフロディーテで
その美しさを分け隔てなく
男たちに配っちゃうもんだから
俺は自分を殺すのに必死で
男の嫉妬より醜いものって
はたしてこの世にあるのかなと思いながら
やめてたラークをまた吸いたくなった
   
   
六日前のきみはお姫様で
俺の会話のセンスが絶望的なせいで
すっかりへそを曲げてしまい
こういうときはひたすらに
愛してると伝えるべきだというのは
さすがの俺でもわかっていたので
土下座しながら愛していますと
言ったら今度はロマンがないって
頬を膨らませて顔を赤らめていた
   
   
五日前のきみは雨で
きみが雨なのは嫌なので
晴れにすることにした
これを読んでくれている
名前もしらないそこのあなたには
何いってるか全然わからないと思うし
俺が一番よくわかっていないけど
好きな女の子のためにバカになれないなんて
そんな男にだけは真っ平ごめんなので
俺はきみを絶対に雨から晴れにすると決めた
   
   
四日前のきみは砂糖で
五日前のきみが作ってくれた
カレーにかけて食べてみた
透き通ってさらさらとした見た目に反して
とんでもない甘さの洪水が口の中に広がって
このあと、お得意様にペコペコペコペコ
頭下げにいかなきゃならなかった俺にとっては
脳みそ回すために糖分が必要だったので
ありがとうとお礼を言いながら全部平らげた
   
   
三日前のきみはクモで
沖縄珊瑚で出来た白い二本の腕や
ターコイズの柔らかい部分だけで出来た白い二本の足が
さらに何本も増えてくれたことに
両手をあげて大喜びしていた
まぬけな俺を尻目に
細くしなやかな糸を奏でて
子供達への愛の物語を歌った
   
   
二日前のきみは少年で
一人称がわたしじゃなくて僕になったから
俺はそれに思わず笑っちゃって
この人は本当に可愛い人だなって
まぁ笑っちゃって笑っちゃって
二日前は特にすることもなくて
電話番くらいなものだったので
手を繋いで一緒に吉祥寺にいって
井之頭公園で咲いている
黄色と白と金色の花の数を数えた
   
   
昨日のきみはハグで
すごく天気のいい洗濯日和なのに
全部ほっといて、ベッドの中で
裸になって抱きしめてくれて
俺はそれに大切な何かを言おうとして
そのすべてのやさしさが混在した
きれいな茶色い瞳を見ながらだと
大切なことなんか何一つ言えなくて
抱擁によって発生する脳内のドーパミンが
ストレスを40%も軽減してくれるんだぜって
鼻高々に
世界一どうでもいいことをきみに話した
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
今日のきみは太陽で
きみを浴びながら俺は泣いた
泣くだけ泣いて
そこから泣いて
それからさらに泣いて
きみのやさしさを
自分の幸せとして利用することだけに
ただただ夢中だった
かつての自分のことを
今の自分ごと殺したくて
殺したくて殺したくて泣いた
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   

投稿者

東京都

コメント

  1. ハグ教へようこそ!ハグは全てを受け止めて、愛に変えてくれるね

コメントするためには、 ログイン してください。