東京,中也
三月の春、氷河はとけゆく。
千鳥ヶ淵のほとり、早桜が舞い落ちる。
幾里もの川辺に、中也の姿は見えぬ。
ここはどこか? 答えよ、東京。
われはこの地の常連ではないけれど、詩を綴る。
大才は持たねども、情を詠むことをよくする。
心の中の東京、古きものと新しきものが併存する。
銀座の下、丁目はいくつあるだろう。
古寺はすぐそば、ただ数里の距離。
思い返せば中也も、かつて東京にいた。
暇あれば詩を詠み、疲れれば夜を歩く。
二十歳の頃、詩の行を裏切らぬように。
郷里に生まれ、夢を抱いて都へ赴く。
新しき詩を作るため、この一生を捧げる。
われは後世の人、君と同じ夢を抱く。
いつの日か招き合い、春の桜を共に詠まん。
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