彼誰時

彼誰時

夜は明け切らぬ薄闇に
僕はランプに火を灯し
今日という日が始まる前に
一編の詩を

コチコチコチ
ツエねずみが金平糖をかじっている
(いや、夜明けを急かす柱時計)

白み始めたあの空を
言葉にできない
肝心なことは
いつも言葉にできない。
人が言葉を見つけたのか
言葉が人を見つけたのか
教えてくれ
彼は誰なのだ

コチコチコチ
(夜が明けようとしている)

僕は言葉を
使いこなしてはいないのだ
時に心臓を貫くと言うのに
而して
言葉がなければ
論理的思考もできぬと言うのに。
人が言葉を見つけたのか
言葉が人を見つけたのか

まどうてください
まどうてください
(やはりツエねずみ)

いろは四十七文字は
いつまでも
打ち解けてはくれない
恋人のように。
人が言葉を見つけたのか
言葉が人を見つけたのか
彼は誰なのだ

もうわからない
わからない
彼と僕とを 言葉が分かつ
言葉がなければ 彼は僕であり。
言葉が人を作るのであれば
人が言葉を見つけたのか
言葉が人を見つけたのか

コチコチコチ
(金平糖をやったのも誰だかわからない)

嗚呼、朝焼けの空
僕はまだ
書き終えていない
書き終えていない
火を消すには まだ早い

投稿者

大阪府

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