変わりようがなかったから
変哲もない
中古車だけれども
馴らし、馴らし
乗っていた
一般道をゆっくり
走ってきた
追い越し車線に変更せず
高速に上がらず
煽り運転にとまどい
横断歩道の子どもたちに
そっと微笑み
誰かを乗せるわけではなく
誰かの隣にも乗らず
たくさんの車に
追い抜かれていった
新しい車に乗り替えると
人間性まで替わってしまう人も見た
ステイタスなのだと驚いた
エンストを起こす人
事故って示談でもめている人
途中で車を捨て
逃げてしまう人
後ろの座席に
無理やり誰かを乗っけちゃう人
助手席から
誰かを追い出しちゃう人
私は、変わりようがなかったから
それらの人たちに遭遇しつつも
一般道をとぼとぼ
ひとりで走ってきた
もうすぐ
車検だ
そろそろ
免許を返上しようか。
…横断歩道で、また微笑む。
コメント
私は、変わりようがなかった、というところに この詩の話者長谷川さんの思いを思います。
免許を返上しようか、というところは、人生の終りをも(私には)連想させて、切ないですけど。
…横断歩道で、また微笑む。
というのが更に良くて、読者である私まで微笑みます。(^-^)
こしごえさん
変わりようがなかったから、の一言に尽きます。私は、本当に変わりようがない。(笑)横断歩道では、微笑んでいたいですね。…もうすぐ免許更新の時期であります。
免許を返上しても人生は返上できないですねw。
babel-kさん、線路は続くよどこまでも…です。(泣)
車=自分、道=人生
という風に読めたりもして、何だか自分のことや他人のことを思い浮かべながら読みました。
そして、車検、免許返上しようか…
で、タイトルに戻って、変わりようがなかったから…って、いろいろグッと来ます。
変わりようのないことは、変える必要のないこと、だと車も道もわかっているのかも知れません。
あぶくもさん
「アリとキリギリス」のような詩になってしまいました。でも、私は地道なアリとも違うのかな。変わること。変わらないこと。変われないこと。…今でも考えています。
あああさん
ありがとうございます。のんびり走っております。そこから何かしら発見があれば、嬉しいですね。
人生において車検ってなんだろなぁって。
詩人のあたたかいおだやかなお人柄が焼き立てのたまごやきみたいでした。