彼女はきっと幸せだろうから 俺はそれがうれしい

   
   
   
俺の幸せと
彼女の幸せがあって

彼女の幸せは
あたりまえのように

俺にとっては
真夏の強い炭酸の思い出だったり

沈む陽にてらされた 可愛らしい真冬の
白い小さな息だったり するわけなんだけど

俺の幸せは 彼女の不幸の形をした
おぞましい化け物で

俺がそれを求めれば求めるほどに
彼女の丸いハートを

あるときは口から 絶対零度の氷を吐いて
芯の方まで凍えさせたり

あるときはねじれた爪で 無遠慮にひっかいて
血を流させたり

そういうことを 他でもない彼女に
してしまうもんだから

そいつは俺なのに そいつをろくすっぽ
俺は抑えることが出来なくて

それでも泣くことはできるから
わんわん泣いていたら

心根のやさしいヤンキーに いい年のおじさんが
悲劇のヒロインしてんじゃねぇと

大雨の八王子を背中で感じながら
ぼこぼこに正義の鉄槌をくらって

それでも謝ることはできるから
何度も何度も自分のしてしまったことを

謝って謝って謝って謝って
謝って謝って謝り続けたら

俺のメガネを壊した暴力ヤンキーよりも
ずっとずっと優しい彼女に

謝らないでと釘を刺されて
自分がしたいようにしていいんだよと

俺みたいなやつに
また暖かく そう言ってくれて

俺はそんなこと言われたら
本当にどうしたらいいか

何にもわからなくなっちゃって
悪いことしたのに謝っちゃダメってなんだよって

悪いことしたのに謝らないとか
そんなの昔の俺じゃんかって

そんなふうに考えていることなんて
彼女には筒抜けみたいで

昔の自分を許してあげてって
これまた釘を刺されちゃって

もう何にもわかんなくなっちゃって
何にもわからないなりに眠りから覚めて

なんか、コートの背中の方
びしょびしょで真っ黒だし

いっくら探しても
お気に入りの青い財布見つからないし

携帯の画面
笑えるくらいひび割れすぎてたりもして

なんだよこれ
ちょっと面白いじゃんって

ため息のように笑ってみたりして
何にもわからないなりに

自由な朝日を浴びながら
仕事の準備して

さて仕事だ仕事って
睡眠不足とハイボールに満ちた頭持ち上げて

ひとり言でやる気のなさをごまかして
ぼこぼこの顔を冷えピタでごまかして

なんにもわかんねぇなぁと思いながら
お客様との待ち合わせ中 車のキーで駐車場ひっかいて

ギザギザのハートマークとか
書いちゃってみたりするんだ

いい年の男が何やってんだろうね
悲劇のヒロインじゃあるまいし

まぁいいか
悩むこと悩んでてもしかたねぇや

今日の朝日は 昨日が大雨だった反動で
昔の自分ごと包み込んでくれるくらい強くて

今日はいい天気だし
絶好の買い物と洗濯日和だから

彼女はきっと幸せだろうから
俺はそれがうれしい
   
   
   
   
   
   

投稿者

東京都

コメント

  1. 幸せの形は人それぞれ違って当たり前だと思うけど、だから違うモノ同士が寄り添うと矛盾が生まれるのかな。全く同じ形でなくても、一緒にいられる幸せという別モノの形もあるかなぁ

    ちなみに、こちらは冬みたいな寒いくもり!そっちが羨ましい!

  2. イチカワナツコさん

    天気というのは、己の気持ちで決めつけるものなので、そちらも晴れです
    晴れったら晴れです!!!!!

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