ロック’ン’ロールの死
日本WEB詩人会の十月の企画として「ロック’ン’ロールの死」というお題がトノモトショウから出題されたので詩を書くにあたり先ずはロック’ン’ロールの歴史について振り返りたい。
なお、個人名については敬称略路とする。何故敬称略とするのか。すべてのものに「経済」は存在する。
例えば法律の条文。非常にわかりにくい構造となっているがそれもこの「経済」という概念を元に書かれたことに起因しており、官僚たちは如何にわかりやすく書くか、ということよりも、以下に効率的に格好よく書くかに腐心した結果なのである。
一言でいうと「コスパ」である。先に本来「トノモトショウさん」もしくは「トノモトショウ氏(君、殿)」と書くべき所を「トノモトショウ」と敬称略で書かせていただいた。これにより、一文字乃至二文字の省略ができ、伝えたいことがその分コスパ良く伝えることができるようになる。
以上、敬称略とする理由である。
本題に入る。
【大航海時代】
時は十六世紀半ばまで遡る
大航海時代の真っただ中
ヨーロッパ諸国が新しい航路を開拓し
交易や新大陸の発見など海の覇権争いをしていた時代
とある船の甲板で
ロック’ン’ロールは小さな産声をあげた
船中で船乗りたちの労働は過酷を極めた
そのような中、若い船乗りのジョンさんがついに声を挙げた
ジョンさんはマストに立ち皆に呼びかけたのだ
レッツ プレイ ロック’ン’ロール!
イェーイ!
船乗りたちはその呼びかけに呼応し
ロック’ン’ロール
ロック’ン’ロール
ロック’ン’ロール
右手で拳を突き上げた
その雄叫びは航行中の他の船にまで伝わり
瞬く間にロック’ン’ロールは船乗りたちの間に広まった
その夜、ジョンさんは思った
ロック’ン’ロールって何だ
検索しようとしたが
当時はまだインターネットもないしWikipediaもない
まあ、いいや
ジョンさんは深い眠りについた
賽は既に投げられたのだ
【日本への伝播】
こうしてロック’ン’ロールはヨーロッパ諸国の船を通じて
世界の各地に広まっていった
もちろん日本も例外ではなかった
日本で初めてロック’ン’ロールに触れたのは
織田信長さんの家臣、永江長兵衛さんだった
スペインの宣教師から
ロック’ン’ロールを差し出された長兵衛さんは
これがロック’ン’ロールか、といたく感激した
その夜、長兵衛さんは思った
ロック’ン’ロールって何だ
まだインターネットもWikipediaも
出来ていない時代だった
まあ、いいか
眠りについた長兵衛さんはロック’ン’ロールの夢を見ていた
ロック’ン’ロールが何だかわからなかったので
何だかわからない夢になった
それでも長兵衛さんは幸せだった
ラブア’ン’ドピース
戦乱のない平和な夢だった
【根付く魂】
紆余曲折を経て西暦千六百年(慶長五年)
関ヶ原の戦いを迎える
数的地勢的に優位な石田さん軍を
徳川さん軍が打ち負かした
石田さん軍だった小早川秀秋さんが
松尾山を駆けおり
大谷吉継さん隊に襲いかかったのは有名な話だが
その時に秀秋さんが
ロック’ン’ロールって何だ!
と叫んだのはどこの記録にも残っていない
口伝すらされていない
ここだけの史実として残っている魂の叫びだ
ロック’ン’ロールが日本に根付いていた証左と言える事例だ
ロック’ン’ロールって何だ
インターネットもWikipediaもない時代
その答えを知ることなく
西暦千六百二年(慶長七年)秀秋さんは
秀詮さんとして息を引き取った(参考Wikipedia)
【そして現代へ】
以降日本のみならず世界中でいろいろな出来事があった
そしてその出来事の背景にはいつも
ロック’ン’ロールがあった
インターネットやWikipediaの出現は
その普及を加速させた
その一方で時代に阿った
なんちゃってロック’ン’ロール
いわゆるロックンロールが誕生した
某国の大統領がロックンロールでツイストを踊る
某国の総理大臣が某国の大統領とセッションをする
某国の国家主席はくまのプーさんに似ている
そこにはロック’ン’ロールの魂の欠片もない
ロック’ン’ロールとロックンロールの違いがわからない人が増えた
それで良いのかもしれない
ロック’ン’ロールが無ければ死んでしまう
そのような人はいないかもしれない
けれど心のどこかでロック’ン’ロールは
ひっそりと息づいている
それで良いのかもしれない
【あとがき】
これまでいろいろと述べてきたが
これだけは忘れてほしくないという
とても大事なポイントがある
関ヶ原の戦いは西暦千六百年(慶長五年)に起こった
これは「天下分け目の戦い」として
仕事、スポーツ、恋愛など様々なシーンで顔を出す
せっかくの機会なので
是非覚えておいてほしい
附記一
Wikipediaに初めて登録された言葉はロック’ン’ロールである
附記二
関ヶ原の戦いで永江長兵衛さんは徳川さん軍についた
その功が認められ十二万石を与えられたが死後世継ぎがいないため改易となった
それでもなお血筋は細々ながら現代まで続いている
永江さんなどまずはお目にかかれない姓なので
永江さんに出会ったら間違いなく長兵衛さんの子孫である
附記三
iPhoneから送信
コメント
トノモトショウさん、ネタにしてすいません。
なお、他の場所に投稿することがあれば、トラブル回避のため、このサイトの名前もトノモトショウさんのお名前も他のものに差し替えます。
失礼いたしました。
10月のお題企画の投稿は本日から!
投稿期間は10/16金曜〜19月曜です。
お題考案はトノモトショウさん
お題『ロック’ン’ロールの死』
※二重鉤括弧含まず
あ、こっちを先に 投稿してあったのですね。さっき気付きました。
お題企画一番乗り!
さて。
うむ、この詩は、手の込んだ詩ですね。
歴史的な背景のある詩という感じ。
本文中の登場人物には「さん」を付けているんですね。うん。
この歴史の中で語られる『ロック’ン’ロール』が死んでいく様子が、妙にリアルで生々しいです。
おもしろい。
これは読み物として一気によまされちゃった。面白い面白い。
永江さんwikiちゃった。一時隠れキリシタンだったのですね(ウソ)
お見事です。「インターネットもWikipediaもない時代 その答えを知ることなく ……(参考Wikipedia)」のくだりでは思わず吹き出しました(笑
いえいえ登場できて嬉しいです!そしてお題の ‘ を汲み取ってくれたのも面白いです。そうかー、そんな時代からあったのですね。ある種の宗教の伝来みたいに、歴史の中に息づいていた。確かにそれはロック’ン’ロールの精神なのかもしれません。
敬称略から敬称ありになって、楽しくずっこけました。(体が動いた)
たいへん面白く読み応えもある一篇でした。
すてきー。
新作ビューばかりを追っていたらこちらを完全に見落としていました。これまた面白いなぁ。みなさんのコメントと同じ楽しみ方ができました。敬称を略す説明に敬称以上の行数を費やす始まりにほくそ笑みながら読み進めると、時代を遥かに遡っておいて注釈や本文の着想がユーモラスな皮肉みたいなものが満載で大好物でした。たもつさん、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド好きだったのですね、私もです!