ロックンロールの夜に
玄関の格子ガラス越し
トイレから廊下に
突き出た足先が見えた時
もう駄目なのだと分かった
父の死に立ち会ったこともあるのに
人はこんなにも冷たくなるのだと
初めて知った
缶の箱にしまってあった遺言らしきもの
電話のみで、と添えられた連絡先のリスト
家族葬で済ませ香典はもらわぬこと
二人きりの兄弟仲良くすること
顔立ちが派手で
女優のように綺麗で
授業参観の時は同級生が騒めいた
ロックンロールでツイストを踊る
そんな姿が似合いそうなのに
童謡しか歌えなかった
その夜、連絡先にあった人の名を
一枚一枚紙に書いて
母が好きな童謡を歌いながら
川に流した
紙は夜の闇に溶けて消えていった
最後に母の名前の隣に
父の名前を書いて流した
花が大好きだった
花の童謡を途中まで歌う
後は二人で歌えばいい
コメント
アコースティックギターの伴奏とボレロのリズムに合わせて歌いたい詩だなぁと感じました。
ああ、1連目からつらくてざわざわもやもやが止まりません。
最後に2人の花が咲きそうなこと、たもつさんの節で、美しくて、泣きました。
色々な音楽があり、それぞれに親しむ音楽があり、音楽だけでなく、その人を表すものがあり。
「途中まで歌う」、死は捉えきれないもので、終わりはない方が良い、のだと思いました。
映像的な視覚から冷たいリアルな触感、回想、最後の「後は二人で歌えばいい」が、大人である子から母親(あるいは両親)へのすべてが詰まった愛情が表現されていて、余韻がたまらないです。こんな詩を残せるなんて、たもつさん、言葉にならないです。
後は二人で歌えばいい
大切なお母様ですね。そして、お父様も大切。
お二人そろって、歌っていることでしょう。
この詩は、感情を いい意味で おさえられていて、静かなロックですね。
@FIELD-RAVEN
FIELD-RAVENさんの中にはいつも音楽が流れている、そんな気がします。
アコギはいいなぁ。やろうやろうとして先延ばしになっているので、そろそろやろうかな。ちなみにピアノは40台で3年間ほどやりました。やる時にはやる男です。何の話や、、、
@たちばなまこと
たちばなまことさん、コメントありがとうございます。
花に包まれる、っていいよなあ。去った人はみんな花に包まれて去っていきました。だから生きていく人にもたくさんの花を届けられる人間になりたい。
@野鳥倶楽部
野鳥倶楽部さん、コメントありがとうございます。
ああ、そうですね、途中でやめることによって自分の中で続いていく。
そうかもしれないですね、きっと。
@あぶくも
あぶくもさん、コメントありがとうございます。他の詩で最後「もう忘れてしまったよ」は書きかけの他の詩から流用した、とお話ししましたが、この詩がそれです。
花の童謡を途中まで歌ったけれど
後はもう忘れてしまったよ
最後は落ち着くところに落ち着いて、出来不出来は置いておくとして気持ちをのせることができたかな、なんて思います。
@こしごえ
こしごえさん、コメントありがとうございます。
父はとても音痴で、子供の頃、宴会で披露する歌のレッスンをしてあげたことがあります。
母は本当に美人だったんですよ、なんてね。
童謡、なんの曲だったのかなぁ、と
想像しながら読んでました
チューリップかなぁ
でも、菜のは〜なばたけ〜に〜い〜り〜しうすれ〜♬
この曲も合いそう、などと想いながら
途中まで、というのが
死が決して終わりではないのだな、と思わせてくれて
じんわり沁みます