独白
僕は
身体でもなければ五感でもない
心でもなければ感情でもない
頭脳でもなければ思考でもない
僕は
観てるだけ
僕は
僕になる前から
僕
男でもなければ日本人でもない
39歳でもなければ社会人でもない
夫でもなければパパでもない
本当はね
あっちこっちに飛んでいける
姿なんてない
言葉で
意識で
思いで
記憶で
祈りで
震えで
光で
何もなくても
飛んでいきたいところへ飛んでいく
やってきたときと同じように
今も飛んでる
完全を知るために不完全でいる
一体を思い出すために分離してる
僕は
そんな映画を観てるだけ
コメント
この詩を読んで、そうだなぁ、と思いました。そうですね。うん。
そう思える あぶくもさんが すてきです。すばらしい。
題名の、「独白」というところもいいですね。題名と内容が合わさって すてきな詩になっています。
幽体離脱みたいな、客観的なアイデンティティを描いているように見えて、もっとメタな視点がラストで現れることで、余計に自己が遠い存在に感じられる。
こしごえさん、ありがとうございます。
そのように思ってもらえて嬉しいです。
トノモトショウさん、ありがとうございます。
自己が遠い存在に感じられると言うコメントが正に言い当てていると思います。
良くも悪くも自己から遠ざかり過ぎると共感からも遠ざかるものになるんだろうなとこれを書いた当時自身で感じたことですね。
読み終え、ふと、nothing という言葉が浮かびました。完全な無ではなく、自己を限りなく無くすことで、湧きあがってくるものがあるのかもしれません。それを、作者は、映画のように観ている…。
長谷川さん、ありがとうございます。
おっしゃる通りの感覚だと思います。
自己の本質が、空っぽである、空虚であるということと、それが真実だとしても、それはそれで何だか手触り感がないよなぁと、違った意味で、空っぽである、空虚であるなぁという感覚でしょうか。
あああさん、ありがとうございます。
ずっと観ていたいような、ずっと観ているとダメになりそうな、そんな映画かも知れません。