猫
猫には命が九つあるだろう?
実は、人間にもあるんだ
いや、あったと言うべきかな?
生まれたときは確かにあったんだ
まず、生まれるとき
そこで一つ目の命を失う
だからね、赤ん坊は泣くんだよ
知ってたかい?
物心つく前くらいに
二つ三つ命を失う
これは仕方ない
危険というものをまだ
理解していないからね
小学校、中学校
まさに修羅場だね
二つ三つほど命を失って
やっと人間が落ち着く
あぁ! 高校!
まさに子どもと大人の間だ
馬鹿をやったり
自棄っぱちになったり
一つ二つ命を失くしてしまう
残った命は
大体一つだけだ
だから人間には
一つの命しかないんだよ?
知ってたかい?
おや、悔いているのかい?
まあ仕方ない
人間だもの
猫よりずぼらなのも当然だし
猫の方が賢いからね
……と、要約すれば
そんな感じのことを
猫好きの友人が得意げに話していた
彼自身が考え出したことなのか
それとも
彼が愛する三匹の猫にでも
吹き込まれたのか
どうにも分からないが
どさくさに紛れてパフェを奢ってもらったから良しとしよう
コメント
生まれるときに最初の命を失う、という発想がとても印象的でした。人は生きていくうちに幾度も何かを失い、そのたびに別の自分になっていくのかもしれません。最後にパフェに着地するのもなんだか素敵。
何度も死んでその度に生まれ変わっているのですね。まさに死があるからこそ生が成り立つという。