木の悲しみ

木の悲しみ

空がだんだん埋められていく
枝は空を讃えたく
その青さに触れたくて
枝を伸ばし葉を開く
けれども気がついてみると
空は自分の伸ばした枝と開いた葉でいっぱいで
かすかに木漏れ日が枝や葉の透き間から射してくるだけ
私はあなたを消してしまったのか
木はぷるぷると青葉を震わせ
ゆさりと重くなった枝に
身悶えする

もし愛が
蝶々の羽のように軽やかで
ただ花と花との間をゆらゆらと揺れるだけの
儚いものだったなら
もし愛が
水のようになるがままの形で流れていくだけの
意志のないものだったなら
もし愛が
絶え間なく煌めくだけの
遠い存在だったなら
もし愛が
言葉を操ることができたなら
もし愛が
心のうちを鏡に映すことができたなら
木は枝を張って葉を茂らせ
誰よりも空に近づこうなどと
思いはしなかっただろう

投稿者

宮城県

コメント

  1. 愛するがゆえに、かえって愛するものを見失ってしまう。その切なさが木と空の関係に美しく描かれていると感じました。最後の後悔が静かに胸に残ります。

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