冬を待つ

まだ頬の紅い子どもの頃に
おもちゃのポストに投函した手紙は

頬の蒼い大人になれば
約束の樹にもたれ掛かって
恋人を心待ちにしている時にしか
配達されて来ないから

舞い落ちるイチョウの葉を数えながら
ひとり手紙を待っていた僕は
コスモスの季節が去って行くことに
ようやく気が付いたのでした

最後の葉っぱを見送った
ケヤキは空にたどり着けないまま
せめてあの雲に触れようと
精いっぱいに背伸びするけど

どうしてその枝先が
僕の胸に突き刺さるのだろう

海のように深いけれど
取るに足らない僕の悔恨は
ちぎれた手紙の破片になって
落葉と一緒に風に舞い
地を這い
雨に打たれ
あの海へ流れ着いたなら

流木で安らぐ鳥が咥えて
雲の彼方へ飛んで行ってくれるから
夜空を舞う雪に変わり
この街を純白に染めるだろう
                                                                           
                                                                                                                                                         

投稿者

広島県

コメント

  1. 「春を待つ」を書くべき時に…完全に時期を逸してしまいました。せめて一月に出せれば良かったけど、その頃はまだ推敲中、て言うかまだ参加してなかった……。

  2. 春来たりなば 冬遠からじ

  3. babel-kさん、コメントありがとうございます。はじめまして。
    なるほど、仰るとおりですね。これからもどうぞよろしく!

  4. 季節の移ろい、その哀しさを想ってみました。実は、この歳になって、おもちゃのポストに投函したかつての手紙が、時々私の元に届くようになりました。…人生の妙。

  5. 長谷川 忍さん、コメントありがとうございます。
    手紙が届くようになったのですか!? おめでとうございます!! 
    「人生の妙」を、勝手にいろいろと想像(と言うか妄想?)させてもらっております^^。

  6. 雄大な自然の中を心は姿を変えながら巡り還ってゆくのですね。

  7. たかぼさん、コメントありがとうございます。そんなふうに読んでいただいて嬉しく思います。

  8. あああさん、コメントありがとうございます。素敵なコメントを、ありがとうございます^^。

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