思い出

思い出

ところどころ
欠け落ちた記憶の隙間に
一昨日と昨日と今日の
わたしの欠片を
埋め込んでみる

なんとなく
良い感じに仕上がった
物語や絵画や短編映画を
クラウドに投げて
空を見上げてみる

誰にも伝えることは出来ない
伝わらなくていい

少し間違っているかもしれない
間違っていていい

ときどき
ぼんやりと
とっさに
思いがけなく

額の裏側に浮かび上がる
それは

楽しいことばかりじゃないけれど
わたしの人生

投稿者

東京都

コメント

  1. 物静かな諦念とためらいがちな自己肯定とがうかがわれます。何とも味わい深い作品だと思います。

  2. クラウドに投げて というフレーズ、いいなと思いました。ネット環境って、実は詩的な環境ではないか。最近、そんなふうに考えています。新しい抒情ですね。

    楽しいことばかりじゃないけれど/わたしの人生 そうなんです。わたしの人生。掛け替えのない、できない人生。

  3. すっごく深い詩ですね。。
    思い出って欠けていますものね。欠けていると、足場がぐらつくのかもしれない。
    そこに直近の自分をはめ込むというのがすごく興味深かったです。
    きっと、真新しい記憶だから確かだし、昔の自分より成熟している分、思い出が良い感じになるのかな。

    かけがえのない人生、多少作り替えても、いいものだったと思えるならそれでいいかもしれない。
    そうやって自己肯定することで、今を生きていく力を得られるのなら、良いですよね。

    自分にしかわからないし、誰かに伝えることがないものかもしれないけれど、
    とても大切な作業だと感じました。

  4. 佐藤 宏 さん
    >コメントありがとうございます
    いろいろなコメントをいただく度に
    ああ、そういう読み方もできるのか、と
    なんだか嬉しくなります。
    自分では見えていなかった景色が見えた気がして。。。。

    長谷川 忍 さん
    >コメントありがとうございます
    何気なく書いてしまったのですが
    ネット環境が詩的って言葉、新鮮でした。
    これからも思い出をでっち上げて生きていきます (笑)

    ザイチ さん
    >コメントありがとうございます
    思い出って記憶のパッチワークかな、って思います。
    うまく辻褄を合わせて自分にしか分からない物語にする。
    真実が必ずしも尊いとは思いません。
    たとえパッチワークでも生きていくための糧になるなら
    それでいいと思っています。

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