心を開く

小石一つから始めた
やがてそれが城になるまで
呪いを解くために
ひたすらに沈黙を守って
そこは楽園ではなかった
城壁の中にいれば安全だったが
一歩外に出れば
昔と同じひ弱な自分がいるだけだった
それでも日差しは暖かく
優しい言葉をかけられることもあった
世の中の理不尽から
城を築くことを褒める者もいた
臆病者と笑うだろうか
私の全てがこの城であることを
生きるためだけに身を竦め
誰にも扉を開けなかったことを
傷付くのが怖くないのか
戦うことを知らないのか
春の風が言葉をさらっていく
城を捨てた者達の亡骸が
からからと乾いた音を立てる

投稿者

神奈川県

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