葬儀
覆いを捲って死体を覗くと
彼が殺された時に出来た傷が
首に残っているのが見えた
生きる為に必要な言葉以外は
心と共に海に散らかしてしまおう
二度と巡らない季節を思って
銘銘が献花のために列をなす
その祈りは目を閉じた時にだけ
朝のように明るく映える
彼は今怒りや悲しさを忘れ
開け放たれた窓から吹き込む風に
この世から消え去った愛を説く
生まれ続けることが正しくて
孤独が捨て去るものだから
人は最期を看取られたいのだろうか
あらゆるものが美しいと嘆いて
神の世界に罪の姿形を留めることについて
誰も彼を責めようとしない
コメント
“海に散らかしてしまおう”
このフレーズとても好きです。
死の姿など、何度も読んで考えを巡らせました。
昨年、3度も葬儀に出席して、一日中葬儀場が稼働してるのを目の当たりにすると。葬儀は一体誰のためにやってるのか?、と思いました。
たちばなまこと/mさん
身近な死をイメージしたら、全く別の詩になった筈の所を、
気が付いたらご遺体を覗き込んでいました。創作とはいえ少し不謹慎かなと心配ですが、
コメントがいただけて嬉しいです。有難うございます。
timoleonさん
生前の故人の意思を尊重するものなら、理想的のように思います。
結果的に心の整理に繋がる所はありますが、遺された側はまず淡々と死後の手続きをするのが先で、
悲しさって後から来るんですよね。
三度もご不幸があったのでは、心理的に負担が大きかっただろうと、心中お察しします。
思い出させてしまって申し訳ないです。