光る空を眺めていた
四六時中血の匂いがした
花瓶の底に溜まった毒を
温かい珈琲に滴らせて
夢を見るように死んでいく
居合わせただけの天使

君の歌はまったく音痴で
ひどく悲しい気分にさせられる
それでも悲鳴を聞くよりは
人間らしくて幸福な事だった
彼女にはそれしかないのだから
納得するより仕方がない

誰も殺せない戦争が起きる
傷付けるのは罪だと知ることが
何故そんなにも難しいんだ
意味のない足飾りを鳴らして
絶望を買おうと列を成す人々と
降りしきる透明な雪

森に生まれたものは森に帰る
暗がりで飲んだ水の匂い
正体を見せない鳥が夜に鳴く
力を知らない小さな獣達が
焼けただれた古木に付き従い
今世界の終わりを孕む

投稿者

神奈川県

コメント

  1. なんかタイトルがぴったり!
    「森に生まれたものは森に帰る」
    このフレーズが好きです
    愛に生まれたものは愛に帰る

  2. 書いておきながら、何故?と不思議に思うフレーズです。
    皆それぞれに帰るべき所があるのなら、誰かに教えて貰いたいです。

    タイトルは今回すぐ決まりました。有難うございます。

  3. 正体を見せない鳥が夜に鳴く
    素晴らしいフレーズです

    雰囲気感が、独白の8ミリムービーを見ているかのようです

  4. 那津na2さん

    有難うございます。そう言っていただけると嬉しいです。
    言葉の羅列が、読む時には頭の中で映像に変換され、
    夢のように暗示的に意味が繋がるのかもしれません。

  5. 三連目が強く印象に残ります。
    誰も殺せない戦争が起きる
    社会は、世間は、男女は、そうなのだと思いつつも、日常の隅のほうで、ちいさな理性を、危惧を、実感しています。そういうものが詩の言葉になっていくのでしょう。

  6. 長谷川 忍さん

    書かなければ現実に残らないことってありますよね。
    詩のコメントの難しさは、そんな言葉にならない記憶を書き出さなければいけないせいかもしれません。

    読んで下さって有難うございます。

  7. 錆びた金属のにおいがラスティックにたちこめます。
    絶望を買えたら感じる世界が一変しそうです。

  8. たちばなまこと/mさん

    絶望って、必要としていない人にとってはいくらでも転がっている道端の石なのに、
    それを欲している人にとっては宝石程の価値があって、贅沢なものなんですよね。
    絶望を売り買いする…改めて考えるとおかしな話です。

    コメント有難うございます。

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