毒虫

誰もそうと気付かない程
深い苦しみと悲しみ故に
青年が悪魔を殺した
あくる日、人間は人間でなくなった

人間が人間を愛する愚かさを
見詰めているだけの沈黙が
神様の優しさだった
人間に、何もしてやれないこと
それだけが確かだった

争ってまで勝ち得てきた美しさが
何の意味もない、悪魔の呪いの産物だったと
気が付いてしまったものは
無数の冷酷な機械が
罪悪を着て歩いているようにしか見えなくなった

形のあるものは嫌われるようになり
お互いが同じ姿でないことで
目に見えないものが最も大事にされるようになり
人間に近い恰好をしていると
悪魔の仕業だと指を差すようになった

人間が人間であった頃
青年が魂の代わりに受け取った報いは
好き合った醜女が幸せに生きていける世界に
それっぽっちの願いだった
結局の所今度は正しさを否定される
混沌が生まれただけではあったが果たして
これは叶ったのだろうか

投稿者

神奈川県

コメント

  1. 悪魔と神様と人間がいました
    愛と憎悪とその中間と歴史があります
    楽しさと
    楽しくない日々と
    苦しみ
    それら相まって世界ができていることを悪魔と神様が見ている

  2. 那津na2さん

    知恵の実を食べるように唆したのは蛇だと言う話ですが、蛇だって楽園にいた生き物で、悪魔ではない感じで。

    説法は諸説ある所が面白いです。読んで下さり有り難うございます。

  3. 哲学的でどこか掴みどころが無いような程よい洒落感もあり、いつまでも余波を感じます。

  4. たちばなまことさん

    自分の中で形にならない思考を元にしていて、
    まだ話が食い違っている所がありますね。
    書き直すと多分別物になってしまうなぁ、と悩んだりしています。

    感想有難うございます。

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