曇り空に撃ち抜かれる
ソファにのめり込むように
いつのまにか寝ていた
すべきことをしなくてはと
身体を
髪の毛を
引き剥がすように
起き上がる
世界が廻る
遠くで戦争があり
近くで子供たちが泣いている
知らない人が今日も死んで
わたしは特に何もない
当たり前のように
世界が廻る
当たり前のように
生きている
すっかり忘れていた
世界は廻っている
廻っている
何が起こっても
起こらなくても
廻っている
呼吸を妨げる腕を振りほどくこともできないくせに砂に埋もれていく足元に落ちる涙も出ないくせに神様の絵の具で描かれたやさしさなんて持ち合わせてもいないくせに愛の話とかしてもしなくても生きていけるくせに生きていけないフリして星の数え方も知らないフリしてその肩の向こうを見ないフリして今日も五月の曇り空に撃ち抜かれる廻る生きている
ねぇ、どうかしているよね
この世界も
わたしも
こんなにも弱くて
でもどうとでも生きていってしまうよ
コメント
起き上がる描写、よいです!
私たちは世界です。さまざまことが進行している世界ですが罪悪感は持たなくていいんだと誰かも言っていました。
そして私にもナツコさんは必要な存在です。
そしてそして最後から2連目がかっこいいです!
最後の連、まさにその通りで、思い描く世界(己の姿も含めて)とはかけ離れているのに、生きて行ってしまうのですよね。
最後、共感の嵐だわ。
たちまこさん、ありがとうございます。罪悪感は勝手に生まれてきて、残りますね。持ちたくないので、自分を許すことから始めなきゃ、ですが。それがまた大変な作業です。
たちまこさんの存在は母よりも姉みたいな、そんな近い感覚です
BENIさん、コメントありがとうございます。そうなんです、思い描くものとはかけ離れているということを、知っていたのに忘れていて思い知らされて。
でも生きている
あぶくもさん
たぶん共感されにくい詩ばかり書いていると思うので、そんな嵐起こせてうれしいです
何もないくせに何かのフリで生きていくってのが人生の本質ではあるけれど、たまに訪れる劇的なものに撃ち抜かれて価値観が変わることもあって、それが忘れられずにしつこく生きてしまうのかなあとも思います。
いつも素敵で可愛らしく美しい詩をありがとうございます
僕は詩の中のナツコさんしか存じ上げませんが、なんとなく詩をみたりして思うのは
なつこさんは、神様の絵の具で描かれたやさしさを持ったやさしい方ですし、愛の話がなかったら生きられない人だと思うので、せめて詩の中でくらい、嘘はつかないで、自分を甘やかして、そして何よりも、愛してあげたらいかがでしょうか
別になにもどうかしていないです
みんな弱くて当たり前です
そのうえで全員、弱いの隠して強がって生きてるだけです
何も気に病む必要はありません
ナツコさんはナツコさんしかいないんだから、ナツコさんの弱さをナツコさん自身が愛してあげてください
…そもそも気に病んでなかったらごめんなさい…
今・この瞬間も地球は回り、どうしようもない世の中は続き、どうしようもない自分も続きながら、日々の味わいや光を探しています。
@服部剛
さん
日々の味わいや光、、、素敵な表現だ。どこにも逸れずに探し続けるのが難しいなぁ。地球の自転を感じないのと同じような感覚です