円周率の旅

あの頃「敷かれたレール」から逸れて
長らく僕は、台本のない道を歩いてきた
最近ふと立ち止まり
ふり返った背後の道に
無数の数字が記されていた

3.14159265359・・・・・

どうやら僕は自分が誰か?を知るために
円周率の道を歩いてきたようだ

ある人はそれを「無謀」と呆れ
ある人はそれを「馬鹿」と罵り
ある人はそれを「勇気」と讃え
ある人はそれを「すてき」と伝えた

僕は単なる馬鹿じゃなく 
とびきりの勇気があるわけじゃないけれど
ひょっとすると「すてき」なのかもしれない 

とうの昔に踏み出した足は
このまま円周率の旅を歩いてゆくだろう

何処へ続いているかは、誰も知らないから
明日の風に身をまかせ、僕は闊歩するだろう

君に打ち明けるなら、この
3.14159265359・・・・・
の道を往くことは
何にもましてわくわくと
胸の鼓動が高鳴るんだ

この手紙を書き終えた僕は
ふたたび歩き始めよう 

昼は花々と木の葉たちが歌い
夜は星々がそっと囁く
この世界が
二度とない物語だと
知る日まで

投稿者

東京都

コメント

  1. この心地よい5月の夜の風が
    いつも心に吹くような
    突然の冷たい雨を
    避けられず
    が、耐えて走る日

    そしてまた暖かい日差しが裏庭に注ぐ

    そんな気持ちよさで自由にも辛く
    日々を渡りたい

    俺もそんなふうになれたらと
    思いました
    どうしても、自由には生きられないから

  2. この詩を読んで、自分が人から何と言ってもらえた時がいちばん嬉しいか、それは「すてき」かも知れないなと。
    また、人生はどこか決めた場所に辿り着く旅路かと思っていた頃もありましたが最近は、同じ場所ではないけれどグルグル回りながら球体を作っていく作業のようだと思っていたので、この円周率の旅はとてもしっくり来て元気づけられる思いがしました。

  3. 円周率という発想がユニークですね。惹き込まれました。惹き込まれつつ、作風は服部風味で、ああ、服部さんだと嬉しくなりました。作品の中でも書かれていますが、この詩は、そのまま読者へ宛てた手紙になっています。…遥かな手紙。

  4. 皆様ありがとうございます☺ ※1箇所訂正しました。

  5. すてきと言ってくれた人と君はイコールなのかもしれません。
    すてきという言葉はいいですよね。
    例えば服部さんみたいな方にぴったり。

  6. 那津さん

    ありがとうございます。 雨の日はあれども、やがて晴れの日も訪れる、というところをいかに共有できるか、と思っています。

  7. あぶくもさん

    「すてき」という言葉はいいですね。人の歩みは、螺旋(らせん)のようです。

  8. 長谷川さん

    円周率というキーワードから、芋づるを引くように書きました。

    詩という手紙が誰かに届くのは、僕の願いです。

    ありがとうございます☺

  9. たちまこさん

    詩を通しての密かな会話ですね。ありがとうございます(^^)

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