明日のことと。
斜めに開いた換気窓から下を見る
濡れた地面はけして静かでは無いが
音はここまて届かない
換気扇のゴウっという音がする
何かのお腹にいるみたいだ
部屋は乳白色に眩しく窓は薄藍色
手を洗ってみる
意味もなく手を、洗ってみる
ジャっというシャワーの音
時計の音がする
少し濁ってヂグ、チグ、という時計の音
カチカチとかチクタクとか
そんな綺麗な音に聞こえたりはしない
大きくなったり小さくなったり
落ち着かない
落ち着かないのが落ち着く
人間臭いのだ
回り続けて消耗したらゆっくりになって
世間から少しずつずれて
休んだら電池を入れ替えられて
また、回り続けるのだ
果てもなく本格的に壊れるか
飽きられるまで回るのだ
雨を見る
音はしない
ゴウっという
ヂグチグとした痛みが
腹の中で渦巻いている。
コメント
生活の中の音に惹きつけられ、最後にはその音は体の中の痛みとしてシンクロする世界が、不思議なんだけど共感もあるなぁ。
ヂグヂグがやっぱり良いですね。確かにチクタクなどの擬音は、そういう風に聞こえるものという先入観でしかなく、その人それぞれの状況とか感性でしか聞こえない音域みたいなのがあって、それが詩の中に活かされているように思います。
落ち着かないのが
落ち着く
素敵な表現です
皆、そういうところが必ずあるんだと思います
チグ。
生き物味がある音だと感じました。
赤ん坊の授乳の音にも似ていて、生命力を重ねました。
タイトルの趣もあわせて素敵です。
ありがとうございます。