イネーブラー

月が夜空から転げ落ちて
すっかりしょげてしまって
反射することも忘れたので
夜はこんなに長いのです

私が光を当てるたびに
嫌そうに眉間に皺を寄せて
光れないと何度も拒むから
余計に皆を怒らせてしまって

人々の心を慰めるものは
イネーブラーとしての月
孤独であり続けなければ
誰のことも幸せにできない

会ったこともない人達が
自分に昇れと迫るから
月はすっかり怖がってしまって
波間に沈んでしまうのです

投稿者

神奈川県

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