夜の岸辺
星の川を渡って
また君は帰ってくる
あなたの名を呼び
忘れられるだけ
小さな手に悲しさを湛えて
笑いながら
永遠の愛と許しと
別れを告げる鳥がはばたく
死が二人を分かつまで
或いは死の始まる所から
虚空へのはなむけを
飛び立たんとしながら
齎していく
どこまで行くの、と君は聞いた
世界が終わる
家の匂いを知らない子供達に
いつ大人になるの、と
大通りでは着飾った化け物が
行列して金を払う
たったひとつの
自分の心を得る為に
星の流れに逆らい
世界の果てに向かったことを
君は生涯胸に秘して
何も見ていないと言うだろう
閉じられた瞼を撫でて
愛する人の為に
この世界は美しいと言うだろう
コメント
この世界において美しいものは何か、と思いながら、読みました。
服部剛さん
有難うございます。たとえあったとしても、答えは心の底の方にしまって大事にした方が良さそうです。
最後の2行の余韻がすさまじいです。
あぶくもさん
読んで貰えて嬉しいです。有難うございます。
この世は美しい、という台詞に嘘臭さを感じてなりません。そんな詩を書いたこともありました。
BENIさん
そそのかすようで不快なこともまましていると思います。不愉快に思われたなら失礼いたしました。