ぶーん
と、軽やかに宙を舞う 
一匹の蚊よ
命がけで人の血を吸う 
機会を狙うお前よ

逃げなさい

大きな黒い手の影が 
生きることと背中合わせの
お前をいつも追っている 

早く逃げなさい

小さなお前に憐みの目を注ぐ私の
この手さえ
ひと度肌に着地すれば
お前をぺしゃり、と
やるだろう

あの頃会社で、つぶれちまった
拉(ひしゃ)げた姿の私のように

だから もし 
この詩を読んでいる
世界にたった一人のあなたが 
つぶれてしまいそうならば
あの隠れ家へ

一刻も早く、逃げなさい

投稿者

東京都

コメント

  1. はっとしました。
    さっき濡れタオルと懐中電灯を構えておりました。
    ふと蚊の命を想う束の間、どこまでも探して追いかけて追い詰めている自分をみました。
    まるでいつかの仕返しでもするように。
    今は逃げてもいいを知ることができたので、もう少し飛んでみようと思います。

  2. うろ覚えの記憶だったので今さっき検索してみたら、やはりそうでした。蚊は女の子だけが血を吸うとのこと。卵を産むのに血が必要とのこと。この詩のように、命がけで人の血を吸う、のですね蚊ちゃんは。でも蚊は普段は花のミツとか草の汁などが主食とのこと。花のミツが主食というのは前から知っていましたが。
    ん。
    危ない時は、逃げていい、とこの詩を読んで救われます。だってほんとうに危ない時は逃げなきゃ死んじゃうよね、下手したら。逃げていいんだ←ほっ。
    でも、血を吸われていたら、私も蚊をはたいてつぶします。←えっ。
    それにしても、蚊の存在を用いてこの詩を書いてあって、剛さんの目の付け所がさすがだなぁ、と感じます。

  3. 今日の午後、村の鎮守様(神さまの石塔たち)の前周りをそうじしていて、その休憩中に蚊ちゃんが3匹くらい私のむき出しの腕にとまってきたのですが、この詩を思い出して蚊ちゃんたちをつぶさないで手ではらって逃がすだけにしました。蚊を殺さなくてもいいんだな、とこの時思いながら。剛さんのこの詩のおかげです。ふふ。

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