無還
心地よい湯の中
呼び起こされた生命の泉の記憶
漂うに身を任せれば
偏りない力に護られる
あるはずのない記憶の鮮明灯
鼓動の響き
満たされる羊水
呼吸
以前は身体いっぱいに詰め込まれていた
なのにこんなにも今は息苦しい
戻ってくるなと
拒まれる
皆 この世界に生きていた
そこから不自由なところへ
泣き叫び
誰かを呼ぶ
悲しいのではない
喜んでさえいない
ただ叫ぶ
泣く
喚く
力
命
髪は時間だな
過去から今へ
今から未来へ
生まれたては産毛でな
始まりと終わり
無へ 無を目指せ
護られていると
わかったことは
何度でも
いつでも
生まれることができること
帰りたいと願う場所
そこが唯一の救いだと
届かぬ過去 今は
喉の嫌悪を抱きしめ
底に沈む
かたく不自由な四角い箱
鼓動だけが やけにうるさい
そしてたのもしい
鼓動ってなんだ
心臓 ってなんだ
音 だ それって なんだ
あったかだ
ひかりだ
そっと ひらく
ひかり
ひかりに
ひかりを
ことばをなくし
しこうもなく
ひかりへ ひかりへ ひかりへ
「 」
石鹸の後で
コメント
バスタブの底に沈みながら物思う感じがとても良くわかります。中でも後半の鼓動の件あたりが特に良いなぁ。
あぶくもさん、コメントありがとうございます。
まさにそうですね、、
底に沈んで、
じっとして、
聞こえてくるもの、
みあげて、
みえたもの、
かんじたもの、
いきぐるしさ、
ここちいいのに、
そのままではいられなくて、
それがかなしくて、
ひっしで、
ああ、うまれるときって、
きっとこんなで、
きおくにないけれど、
ねっこはおぼえていて、、、
この詩は、
きっとふへんなもので、
でもとくべつで、
つづってくださったかたがいて、
それにしょくはつされて、
ゆうきをもらえて、
むちゅうであんまりかんがえないで、
つづれたかな、
っておもいます。
コメントありがとうございました。
実は前半?あたりは数年前に綴ってあったもので、
えいや!と思っていきおいで綴ったのが後半あたりだったんです。
そこを読んでくださったことを伝えてくれたのは、今の自分を読んでくれた心地がいたします。
ありがとう。