シオカラトンボ

 
 
 
太公望よろしく、針もつけずに柿田川に釣糸だけ垂らす
少し向こうの方のベンチで
中学生のカップルが夏みたいに手を重ねている
俺にはそれが奇跡に見えた
そんな光景に心をやられながら
あの子はちゃんと正直に
すべて俺のせいだってことを
言ってくれているのか心配になった
自分はただ俺に騙されただけなんだってことを
嘘偽りなく話してくれているかどうか
すごく心配になった
 
 
 
 

結局、当たり前だけど魚は釣れなかった
代わりに、仲良くなった小5のケイくんに見せてもらった
シオカラトンボの水色の光の跳ね方を
君にどう伝えりゃいいのかを考えながら
長く延びる落日に
本当にごめんねと、訳もなくいちいち頭を下げながら
家に帰ることにした
 
 
 
 

投稿者

東京都

コメント

  1. 「俺」の優しさがにじむ詩ですね。
    こういう空気感の詩好きです。拝読してておだやかな気持ちになります。

  2. この雰囲気の中で、小5のケイくんと仲良くなる件がとても好きですね。

  3. あ、「俺」の優しさが「にじみ『出る』」詩ですね、です。失礼しました。

  4. @こしごえ
    コメントありがとうございます

    こしごえさんのコメントと、気遣いと、そのコメントを書くお心が何よりも優しいです!!!(´;ω;`)
    本当になんなんですか、こしごえさんのそのやさしさは!!!!僕も日々こしごえさんのような大きな器の人間になれるように、精進します_(._.)_

  5. @あぶくも
    コメントありがとうございます

    彼は、トンボのみならず、直接網でカニやら小魚やら、その他もろもろ捕まえまくりのポケモンマスターでした

  6. タイトルが「シオカラトンボ」ってところが絶妙だなあと感心いたしました。

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