詩人と旅人

太陽には匂いがある
夜には手触りがあって
巡り来る夕やみからは
きいきいと音がする

どれもが知らないもの
不確かさそのもの
無慈悲な神様の決め事で
愛を夢見た人の間違い

悲しさは空虚だと知って
眠れずに作った世界
闇の中手探りで
心が独り歩きを始める

愛する人の元を発ち
別れなければならない
どんな約束があったのか
自由は手に負えない

帰っておいでと
育てられてさえいないのに
もういいんだよと
何一つ許されていないのに

投稿者

神奈川県

コメント

  1. 一連目の研ぎ澄まされた感性が素敵です。

  2. まったく同じ感想ですが、一連目の描写が一気に読む人をグッと惹きつけますね。

  3. トノモトショウさん

    時々何かの拍子に人の琴線に触れることがあるようです。
    何をどうやって書いたらいいのかいつも迷子です。有難うございます。

  4. あぶくもさん

    書きづらい部分です、感覚に頼るというのは。なんとなく怖い。
    今は、作者自身の救済なのか、読み手の娯楽なのか、と書く意味を考えてふわふわしています。

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