空

人を選べず
色を選べず
委ねることに甘んじて
流されることを許し
いつ朽ち果てるとも知れず
役割を全うすること叶わぬ

すでに肉体は灰と化し
空虚を埋める気概もない
雨ざらしのドロ酒に酔う
ボロ生地曝す恥さらし

厚顔無恥と指差され
無の無の無
と罵倒され
それでも在り続けるガランドウ

ああ、陽に灼かれる五体もなく
湧き出る泉を亡くし
砂漠の美しさも忘れてしまった
夜明けを嘆こうとも
見えぬ、聞こえぬ、言えぬのだ

手折る花もなし

もうどうにでもなれ
もはやこれまでか
言葉は役にたたぬ
命もいらぬか
救いはないのか
だれか助けてくれないか

千思万考

二度と戻らぬ行先の
旅人達を羨むように
汽笛虚しく星になり
内なる宇宙は涙する

ならばせめて祈ろうか
折り重なる落ち葉を夢みた
悠久無限のひとひらに

合掌

 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
ない
なにもない
ないしかない
それしかない
ないないない
ここにはない
ここはない
ここなどない
ここなんていらない
いないいないばああん

ないからこその
完璧不自由
なればこその
完全自由
そこに矛盾はない

空の空の空

ああ、からっぽだ
からっぽからっぽスキップだ
なんと身軽であることか
生まれた理由がないとしても
生まれる私にはどうでもいい
身動き出来ぬ身なれども
感じて、思って、受け容れて
選んで、決めて、返せばいい

何処へも行かず
何処へも行ける

無念無想

道を閉ざされ宙を得た
ありったけの心を掬い
渾身の詩を散りばめて
内なる世界は歓喜した

「我、満ちたれり」
 

見上げれば
 
  

  
  
 
 

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