ソイトスタラン

不確かである、洋上の都市を
君とともに思い出す、夏のさかりに
早く水平線を脱ぎ捨てて
空洞の都市、外殻だけで守られている
それは我々の精神のための、不確かな建造物である
階段は様々に流れを作り出し、
悲しみの階段を登りながら、わたしは思っている
洋上にあふれる最高度の太陽、
悲しみとは、昇りつつ隠される太陽の嘆き
そして君は喜びの階段を、手をふりながら、ああ
空虚な空間がわたしたちを、隔てている
遠く霞むようにして、苦しみの階段を
あのひとは登っている、「からす色」の服を着て
都市の下は海水であり、そのゆがんだ壁面のしずく、圧力のままに
我々はつねに登りつづける、精神が求めるままに
シャンデリアのように釣り下がる光の、それは本のための
小さな踊り場、用意された「この本」を
不確かな文字の形とともに、不確かな感情でむかえる
君は「アルカディア」の方へと、
そして君の額は、知識と理想と水仙を、サイトする
読むことは、眠ること、言葉のベッドが並んでいる
我々は懐疑することができない、「和紙」のように干されている、
デリダリとソイトスタランが、階段をつくりつづける
光と情報がひろがる空間の先に、新たな常識をつくる
それではひとびとは、あさのひかりのなかで、
食事をする、あわいくだものの、すいぶんのカステラの
感情とともにわたしたちのこころは
階段を登りながら、見えてくる、永遠の認識と言うもの
その音響、そのたたずまい、そのまるめられた、すべらかさは、
まだ生き残っている、我々と言う存在の、なまめかしいおろかさの、
都市の構造、洋上都市の外殻だけの、つつましいありかた
ピエロのようなものが、階段を登って行く
そして落下する、ピエロのようなものが
意識する無限の彼方、神の言葉が彫られている
君とともに手を握り合い、君とともに精神の蛇の、アーナンダ、
理解しよう、そして天空はシンバルの、はてしない音響を抱く
これらはすべて階段の途上である
わたしも君も、透明の階段をのぼる、はっきりと君に
肉体の死を語りたい、ああ、それは
都市である、洋上の永遠の都市である
君の胸の肉のその奥の、届かない血の叫びの
認識しよう、ともにアルカディアへと、ほろびることはない
のぼりつづける、階段の、その先の、
「無」と共謀するわたしと君の、新たな深淵の言葉を
哀しくても、喜びであっても、ひたすらに望みとするもの
「無限に」あふれている、「無限に」枯れない泉
ひたすら天上へとのびあがる、この都市
デリダリとソイトスタランの都市
そしていつまでも
君のくちびる。

投稿者

岡山県

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