レトルトカレー
自分がまっとうに生きていることを
覚えていられる余裕がある人は
世の中では珍しい方なので
普通は改めて紙に人生を写し書きして
正しさを証明する必要がある
何故とかどうしてとか
社会に疑問を抱くと上の人が怒るので
脚色は推奨はされないが
大体は余白を持て余してしまって
まるで幽霊が笑うみたいに
不気味な幸福をうたい始める
清書係は仕事が気に入っていて
作者と楽しそうにやっている
この表現は少し詳しくした方が
読んだ時に想像しやすいとか
この表現はどんな意図があるかと
細かい所に手を入れてくる
最後はお決まりの台詞
「私は(私達は)ずっと死にたかった」
という後悔を添削する作業をする
必ず誰にでも備わる不安ではない筈だが
頻度として考えた時に
なぜかそれと同等あることは否定できない
生きることを肯定したければ
死ぬことを覚悟しろという
この理屈もそろそろ陳腐になってきた
冷房のがんがんに効いた天国で
お昼のニュース番組を眺めながら
指導者はレトルトカレーを食べている
コメント
おしゃれ!
日常を紐解くとポエジーがたくさん泳いでいるのだなあと思いました。
たちばなまことさん
有難うございます。
社会の仕組みに従っている、日常こそ人間の狂気なのかもしれないです。