献花
見えない空の向こう
何も、と言って忘れられた
しけった雨の匂い
ゆっくりと背後から現れる秋
光る石のうごめく
夜の森
土くれから人間を生む
悪い妖精
言葉の全てを失った
子供
浴びるように酒を飲む
煙草に火を点ける
光を恋い慕うモンスターが
朝焼け
勇者の為にと
いつものように虐殺される
断末魔
不変の幸せを
あんなに約束してやったのに
泥の中に何か住んでいると訴えるから
覗き込んだら
背中から突き落とされて
神様は死んだ
全てのものは憐れみ
季節の移り変わりとともに
罪を思い出と呼んで
償うのも明日を生きる為
使わないナイフを研ぎながら
裏切りについて考える
海と湖を見間違える
夏の終わり
静かに去ったあなたの影が
窓辺の椅子に
まだ生きているように座っている
花を供えたいが
もう遅いような気がしてならない
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