故郷の歌

今と久しぶりに会う今を
懐かしむ
蜩の歌が虚空へ消えた日の残照を
じんわりと
でも その後は
さっぱりと
失ったものへ
さようなら
さようならの果てのお墓には
さまざまな失われたものが
眠っている
失われたものが生まれ変わった
今と久しぶりに会う今を
通り過ぎる
鬼やんまの宙の道筋を
私もいずれ行くことになる
そうして
私の体を失うこの魂はその時に
愛に帰る
いいえ
思うことでいつでも
愛に帰ることが出来る。光の
光の
おだやかな日の
田んぼの上をとんぼの群れが飛んでいて
お日さまの光をとんぼ達の翅は反射している
ひらりきらりひらりきらり ひらり
と今を
超えて

投稿者

コメント

  1. ひぐらし
    と、読むのですね

    夏がふぁーっと
    終わったいきます

  2. @那津na2
    さんへ 蜩、そうです、ひぐらし、と読みます。私もずっと前に知りました。カナカナ・・・・・・と鳴くセミのことですね。ちなみに、広辞苑によると、「日暮し」という「セミは」載ってはいません。

    はぁ、夏がふぁーっと終わっていく、という表現うまいですね。
    この詩から、夏の終りを感じたりしてくれて ありがたいです。夏の終りをイメージして書いたので。

    那津さんが そうして感じたりしてくれたことを私に伝えてくれて貴重に思います。ありがとうございます。

  3. 夏から、秋への変わり目…。その、どこか切なく懐かしい感じが上手く表現されていますね。これから、少しずつ、木々も色づいていくのでしょう。

  4. @長谷川 忍
    さんへ ああ、長谷川さんが、この詩から夏から秋への変わり目を感じ取ってくれた上に、そういうふうに言ってくれたことを貴重でありがたく思います。ありがとうございます。
    昔の私は比較的情景描写に力を入れていたのですが、最近の作では集中力が続きにくくて それらの描写をうまく出来ていないと思っていたので、長谷川さんからそう言ってもらえたことは光栄です。

    そうですねぇ、少しずつ秋らしくなっていきますね。ふふ。「今」のこの時を出来るだけ楽しんだり味わったりしたいです。

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