てのひらものがたり

遠く近く揺れる青が欲しくて
波間に手を差し入れた
けれど指からは雫が落ちるばかりで

白く光るシリウスが欲しくて
夜空に手を伸ばした
けれど指先は空を掻くばかりで

開いた掌の中はいつだって
何も 何も無かった

それでも覚えている
触れた海はくすぐったくて
肌を撫でる風が冷たかったこと

いつだって世界のかけらは
掌から零れ落ちていくけれど

それでも覚えている
掌にほんの少しだけ残った 私だけの世界を

投稿者

コメント

  1. この情感、とても素敵ですね。

  2. @あぶくも
    コメントありがとうございます! 他の方に伝わりにくい作品になることが多いので、暖かいお言葉とても嬉しかったです。

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