武蔵野線車内より

向かいの長椅子には
日本人の老人が隅にひとり

それから
出生時から肌を焼いた
若者が六人
僕の知らぬ呪文を車内に溢れさす

窓には
いまにもはちきれそうな黒雲だが
はるか
向こうの彼らの空は
一番星がか細くささめく

花屋を薔薇が照らし
夕暮れに街灯が匂い
月夜を溜息が仰ぐ

すでに溢れ出す夜だった

投稿者

茨城県

コメント

  1. こちらも今までの私らしからぬ作。試行錯誤しています。

  2. ワンシーンの切り抜き方が格好良いです。

  3. @トノモトショウさん
    ありがとうございます。現在いろいろと試行錯誤中です。いままでは何となく「月下の一群」に乗りそうな詩を書いていました。その後、少し年を経てちょっと変容しつつあったのですが、仕事が忙しくなったことと興味の分野が他に移ったことで、あまり詩を書かなくなりましたが、ここ最近また書こうと思い始め、少しばかりスタイルを変えつつあります。なんて誰も聞かない独り言を。。。

  4. 詩行の描写に味わいがあって その空気感がすてきで好きです。

  5. 出生時から肌を焼いた若者

    好きな表現です

  6. @こしごえ
    さん ありがとうございます。自分としてはまだまだだと思っております。

  7. @佐藤宏
    さん ありがとうございます。そう言って下さるとうれしいです。そこはかなり戸惑いつつ書いたところなので。

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