夏葬

今年もまた
死にぞこないの夏の息の根を
ひと思いにとめてやる
そんな季節になりました

終電に揺られながら
窓の外を流れる夜景と
イヤフォンから流れる音を
頭の中で混ぜ合わせます

震えるようなファルセットに
胸ぐらをつかまれて
二度と立ち上がれなくなるぐらい
叩きのめされます

夜景と音が完全に混ざり合って
色のない光の粒になったら
それをライスシャワーみたいに
宇宙にばらまきます

地球は
この途方もなくだだっ広い宇宙に
ポツンと建てられた
ちっぽけな墓標なんだそうです

ロケット花火
何本束ねて火をつけたら
宇宙まで
飛んでいけるのでしょうか

一年たったらまた
すべり台のてっぺんで会いましょう
それまでは
おやすみなさい

投稿者

大阪府

コメント

  1. 礼儀正しい友人からの挨拶状みたいに親近感と懐かしさがあって、夏の終わりが寂しく感じられました。

  2. なんとなく土井善晴先生の料理の手順みたいに読んじゃったなあ。

  3. 題も好きです。
    丁寧な語り口がかえって内容を強烈にしているように感じました。
    地球は
    この途方もなくだだっ広い宇宙に
    ポツンと建てられた
    ちっぽけな墓標
    ここが特に好きです。地球は ちっぽけな墓標。

  4. @Yatuka さん
    手紙のような、書き置きのような、そんな雰囲気を出したかったので、
    「挨拶状」というのは確かに当たらずとも遠からずかもしれません。
    夏は大嫌いなのですが、夏の終わりは、なぜか感情が動かされますね。

  5. @トノモトショウ さん
    土井先生、大好きなのでそれはうれしい(笑)。
    あの人の言葉(書いたものも語っているものも)、不思議な説得力があるよね。

  6. @こしごえ さん
    去っていく夏の寂寥感や孤独感を、心の中のカメラをドーンと引いてみたら
    真っ黒な宇宙にポツンとさびしく地球が浮かんでいました。
    そんなイメージです。

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