モルフォ
君の中にも僕の中にも
同じ海が満ちていることには
そろそろ気が付いたかい
人間が数えられなくなった時にも
それが果てや終わりではないと
永遠を歌う君が好き
パンが焦げる匂いや
沸き立つやかんの音で
目を覚ました僕はもう
さっき迄の悪夢をきれいに忘れていい
何故も何もない
愛こそ本物の無なのかもしれない
証を立てることが裏切り
死を約束して
生きるという契りを交わす
月の光にさ迷い出る虫を
醜いとか愚かだとか蔑むのかい
別に構いやしないけど
世界にたったひとりでも
そんなことで首を縦には振らないよ
僕は
潮騒に乗って
夜闇にも君の歌が聞こえてくる
形あるものが死に絶える時間
その度に
何の為に死にたかったのか分からなくなる程
幸せだったような気がするんだ
コメント
幸せって、パラドックスですよね。
愛こそ本物の無
世界は、逆説かもしれない。
@長谷川 忍さん
好きな人といて、好きだという証拠があるのかと詰められたら困っちゃいますよね。
金銭の授受も、誠意の証明も、やっぱり根本的には無のような気がします。
タイトルと詩とのシンクロが美しいです。
死に向かい羽ばたくのか生きるために羽ばたくのか、いずれにしても生命力が美しいです。
たちばなまことさん
蝶は魂の象徴らしいです。生きることと死ぬことは、もう別けて考えてはいけないものかもしれないですね。
有難うございます。