秋風

桜の葉が秋色に染まり
乾いた緑の上に舞い落ちて
秋の深まりを告げていた
そんな日に

あなたはいつものように
少し先を歩いて
しばらくしてから振り返る
春の頃とかわらずに

銀杏が色づくまでもうすこしだね
と街路樹を見上げるあなたを
わたしは見上げて

すこし先のわたしたちを
想像してみる

秋の風がひんやりと
ふたりの頬をなでていった

今度はいつ
あえますか

またひっそりと

そんな言葉を

のみこんだ

投稿者

コメント

  1. 小さなドラマを観ているようなお作品でした。「すこし先のわたしたちを/想像してみる」。このフレーズが、アクセントになっていますね。

  2. @長谷川 忍様
    ありがとうございます。
    長谷川様が「小さなドラマを観ているよう」に本作を読んでくださったこと、とても嬉しく感じました。
    「すこし先の~」のくだりは、追う恋のせつなさを、秋から冬に移りゆく季節と重ねて表現したつもりでしたので、
    そこを「アクセントになっている」と感じていただけましたことも、大変嬉しく思います。
    このたびは拙作をお読みくださり、素敵なコメントまでありがとうございました。

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