生と戦争と死と

父が亡くなり 兄が亡くなり
男達は次々と姿を消した
残された母と 幼い弟と妹と
ただ必死に生きる日々

生きていくためには何でもした
地を這いつくばり血を吐くような思いで
それでもなお 私は生きたかった
死にたくなかったのだ

カラーの薄型の液晶テレビに
とある国とその隣国の出来事が映る
それはあの暗く重苦しい時代を想起させ
私は遠い記憶の中の赤く燃える夜空を見上げる

しかし
いつかこの国のように
また息を吹きかえすことがあれば
その国の人々は何を思うのだろう

次のニュースではこの国の
ここ数年の自殺者の数の推移が映し出され
アナウンサーは淡々とそれを読み上げる

どんなに生きたくても
死ななければならなかった者達が
焦がれて手を伸ばそうとするであろう尊い命は
今日もこの国のどこかで
その人自身の手で
亡きものにされている

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