二十九日

今僕は町田康の詩集
土間の四十八滝を読んでおる

脇には中原中也 萩原朔太郎 谷川俊太郎
現代詩手帖が平積みされている

で 後ろから君に丸めた新聞紙でパーンって
叩かれて僕は笑う

そんで何事かと
岩屋に隠れたアマテラス的に
ミケが押し入れから出てくる

僕は君と踊りたいんだよね?
なんて問いは野暮だから
黙って君の手を握ったそのとき

ミケの瞳から光線が放たれて
僕たちはベッドに倒れ込んだ

見つめ合って
それから

やっぱねえ ムードは大切だよねって
結論に至った

なくなく僕はキッチンに立ち
萎れた大根をトントンと切っている
沢庵を作ろうかと思っている
とびきり上等な奴を作って
君とお酒を飲みたい

で 後ろから丸めた新聞でバーンって
叩かれるかと思って振り返ったら
君はなんの涙か
うずくまって泣いていた

ハンカチとそれからキャンディを君に

二人で泣こう
ずっとずっと泣いていよう
二十九日経ったらキスをしよう
ちゃんと言えてなかったね
好きだって
ごめんんん!
あ 昔 近所のおじさんがね
発光した人間を見たって言ってたよ
金色に
発光した人間
「意味わかんない」
僕もわかんない

こうして言葉は分離して浮遊した
闇夜を漂う蛍のように
あてもなく
鑑賞されるがままに

好き

投稿者

静岡県

コメント

  1. この詩の話者の優しい語り口がすてき。
    そして、最後の一言「好き」が効いていると感じます。

  2. コメントありがとうございます。詩にはほとんど自分を投影しています。非常に照れくさい。好き。にすべてを込めました。気持ちを集約した感じです。詩がまた一つ、報われました。

  3. 「丸めた新聞紙でパーン」の関係が微笑ましいです。二十九日が気になる。

  4. コメントありがとうございます。理想の関係です。憧れです。二十九日に深い意味はないです。なんかポンとひらめきました。

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