入院

(ちょっぴり改稿ver.2022)
                                                         
病気になると みんな
入院すると思ってる

ずっと入院されていたんですよね
お見舞いに伺いたいのですが どちらの病院ですか
病院にいた方が 苦しくないんじゃないですか
病院にいた方が 安心なんじゃないですか

面会時間は
午後1時から7時
日祝祭日は 午前10時から午後7時
おなかが大きいときは
めいっぱい病室にいた
臨月のときはさすがに
ラッシュ前に帰った
生まれる5日前からは
母に行ってもらった
側にいたいときにいられない
病院はそんなところ

携帯の苦手な彼が
長いメールを打つの
帰りたい 帰りたい 帰りたいよ
夜になると みんな苦しんでいて いゃなんだよ
やっぱり家がいいよ
入院なんてするもんじゃないよ
まめるいは元気にしてるかな

るいと一緒に 私が入院しているときは
全部自分でやるから
点滴の準備に2時間かかったって
この間言ってた
それでも家がいいよって 言うからね

るいが生まれて間もないときは
母と代わりばんこに行った
るいが半年のときは
毎日抱っこして行った
ラッシュを避けて帰ったから
ニュースの時間には独りぼっち

帰りたいよ 帰りたいよ るいはいい子にしてる?
家がいいよ 家がいいよ みんな一緒がいいよ
誰一人欠けても 駄目なんだよ

最後の入院のときは
蝉しぐれと日差しが いたく… 降り注ぐ中
ベビーカーで飛びだして
駅構内を邪魔者扱いされながら
エレベーターのあるところまで 何度も遠回りしながら
るいは笑顔をふりまき 水しぶきみたいなビーズを
きらきら きらきら こぼしながら

病院のエレベーターで話しかけられる
赤ちゃんを連れてきて大丈夫なの?
おじいさまかおばあさまか存じませんが きっと喜ばれるでしょうなぁ
帰りに同じ人と乗り合わせて
ああ! パパだったのね…! って

病気になると みんな
入院すると思ってて
小さい子を連れて お見舞いにゆくと
おじいちゃんかおばあちゃんに
会いに来たと思ってて
私は何も言わなかったけれど
くやしくて泣きたかった

家がいいよ 家がいいよ
みんなと一緒にいたいよ
他人に監視されない
消毒液のにおいがしない
土の上に建つ家に
日の当たる庭に花を見て
野鳥の詩(うた)や溜め息をきいて
るいがはしゃいだりぐずったり
ごはんの炊けるにおいがして
みんなの寝息であたたまる部屋で
ずっと 一緒にいたいよ
                                                                              

投稿者

東京都

コメント

  1. 11月5日は、ぽえ会1期の時に投稿していた “ モーヌ。”という詩人の命日。
    かつて1期の頃「投稿は週1作品まで、必ず他の作品に感想を付ける」というルールがありました。彼は自分の作品の投稿前に2時間程かけて自分の詩を読んでくれた人や気に留めた作品に丁寧な感想(コメント)を書いていました。私などはその感想欲しさに一生懸命彼の詩を読んでいたひとりです。

    1期は自分の作品の下に別枠でこんな風な説明などが書けましたね。懐かしいですね。

    この詩に出てくる子は16歳になって詩は今のところまだ(?)ですが、小説を書いていますよ。

  2. フィクションでも、ドキュメンタリーでもない、実話を元にした作品ってのは、作者の想いによって脚色されることで、真実に真実味が付加される醍醐味がありますね。オレはちょうどぽえ会を離れていた時期だったので、モーヌ。さんは一度お会いしたような記憶もあるけど、ほとんどやり取りしたことないと思う。ただ、こうやってたちまこの詩で何度も会えるので、すっかり知り合いの気分です。

  3. この詩を拝読して、じーん、と感動しました。家族のありがたさを思います。
    モーヌ。さんへ 黙礼
    実は、ぽえ会1期のころにホームページを見たことがあると思います。でも、その当時は私の体調もありコメントを付けるとか大変そうだな、と思い他の投稿サイトに出入りするようになりました。現フォね。
    今は、みなさんのコメントが優しくて楽しいです。(自分流ですが)コメント付けるのも楽しい。
    ぽえ会のみなさんとこうして出会えたことをありがたく貴重に思う。
    たちばなさんに、こういうコメントを書ける機会を頂き ありがたいです。
    たちばなさん、みなさん、ありがとうさま。拝礼

  4. 埋もれてもしっかり探して戻って来ました。”モーヌ。”さん。第一期も知らずお会いしたこともないのに、timoさんのポエコラ#5で読んだ時に、みんなに愛された詩人さんがいたんだなあと、感慨深く記憶しましたが、このたちまこさんの詩を読んで今日が命日だなんて、もう勝手に仲間じゃんって思ってたから泣いちゃいそうだね。

    ポエコラ#5のリンクも貼っておきます。
    https://poet.jp/poetcolumn/1015/
    モーヌ。さんの仲間たち(たちまこさん達)によってアーカイブされた詩や文を読むことができるブログのリンクもtimoさんが紹介してくれています。
    真っ先に出てくる彼の詩のタイトルが『泡雲幻夢』となっていて、そんなこと知らずに『あぶくも』と名乗った私が奇妙なシンクロニシティを感じていることを初めてここに告白しておきます。
    まだ読まれていない方は是非。

    私が『こつぶ』を書いた時に「うちは『まめ』と『ひかり』でした」というコメントを頂いたのも憶えていて、『まめるい』としてこの詩に出てきてるのが嬉しくなった。そして育つ時間と入院の時間の対比に胸が苦しくなりますね。こうして命日に詩で時空を超えられるのは何よりの供養でもありますね。みんな紹介してくれてありがとう。

  5. @トノモトショウ
    さん。真実に真実味というのは興味深くてこれがアハ体験というやつかも。
    モヌとはあそこで私も一緒にお会いしましたね。
    ワン共感します、一度もお会いしたことがない方もいるのですが知り合い(なんなら友だち)のつもりになっています。そして生きている内に直接お会いすることは無い方もきっといて、それはそれで悪いことではないのかな。(でも会ってみたいな)

  6. @こしごえ
    さん。こしごえさんの感謝のこころに毎度感服しております。
    現フォにはあそこの良さがありますよね。私信、検索システムも使いやすいし。そこで知り合った大切な友だちも居る。
    ぽえはひと作品をじっくり読みたい人には居心地が良かったです。オフ会も盛んでしたね。
    モーヌ、こしごえさんのことたまに話題に上げてました。内容は覚えていなくてすみません。ポジティブな話だったと思うのですが。
    こしごえさんが出会いを貴重に思っていること、教えてくださって嬉しいです。
    そして、いつも読んでくださりありがとうございます。

  7. @トノモトショウ
    さん。入力ミスごめんなさい。
    ワン共感ってなんだよって話です。
    共感です。共感。
    これだから四十路は…ヨボヨボ…

  8. @あぶくも
    さん。あぶくもさんには尊敬の念か止みません。詩人でこんなにまっとうなひといる?(いねーよな)って、驚きと感動がとめどなく。
    いつもあらゆるものごとに丁寧に接してくださりありがとうございます。

    timoさんのポエコラ、素晴らしいですよね。人のことをこんな風になかなか書けるものではありません。ここでも再び触れてくださったのでまた読みにいってきます。
    胎児ネームのことも憶えていてくださって。まめはモーヌ。によく似ています。遺伝子情報の神秘です。まだまだ時空も物質も超えて出てきそうな雰囲気です。
    (余談ですか山にも登るあぶくもさん、串田孫一お好きだったりします?)

  9. @たちばなまこと
    歌ったり大喜利の司会やらされた某氏の結婚パーティーの時かなあ。オカザキタツオにアントニオ猪木のモノマネさせてダダスベリさせた記憶だけはこびりついてるのに、色々テンパってた上、初めて会う人が結構いたりして、何が何やらだったんだよね。ん? 両国の土俵が店の中にある居酒屋でオフ会したのは、いつの何? その時たちまこに初めて会った気もするけど違うかな。あれ? 文フリだかポエケットだかにFPで参加した時? 断片的な記憶ばかりで何も結びつかなくて申し訳ないワンワン!

  10. @たちばなまこと
    さん、尊敬の念とか、まっとうとか、そんな言葉食べたら下痢しちゃうかも。生身の私は詩人としてはどこにも所属したことも投稿すらしていなかった遅れてきた新人(笑)です。ぽえ会は、青臭い言い方だけど、もしかすると出会っていたかも知れない世界線を(オンラインとは言え)ふと探しに出かけた旅先にいた人たちの場なので、みなさんの関係性を知れば知るほど、いいなぁ、楽しいなぁと。私の詩にもモーヌ。さんからコメントもらってみたかったなぁ。今のぽえ会のこの求心力ある雰囲気もモーヌ。さんの姿勢そのものなんですね。
    そうそう、串田孫一さんは「山のパンセ』というタイトルしか知らないので、今度読んでみまっす。教えてくれてありがとう。映画にしても、スターウォーズもハリーポッターもロードオブザリングも観たことないと言うと時々人に驚かれるんだワンワン!

  11. @たちばなまこと
    さんへ モーヌ。さんが私のことを時々話題にあげていたとは思いもよりませんでした。たちばなさんがそのことを私に伝えてくれて ありがたいです。そして、モーヌ。さんが私を話題にしてくれてうれしく光栄に思います♪☆^-^)
    現フォで知り合った中で今も交流があり友達や仲間になれた方々もいます。現フォに入会したのが2005年。ぽえ会でもすてきな出会いが出来たし、これからだと思っています。
    拝礼 (^-^)

  12. いつも感想も書かずにごめんなさい。
    こんなポンコツな私を、モーヌさん笑ってくれるかな?
    お話する機会は少なかったけれど
    初対面の時、とっても柔らかい空気をまとっているのが分かりました。
    なのに、話がつまらなくてごめんなさい。
    私はいつまでもポンコツのままです(笑)

    感想じゃなかったですね。。。

  13. コメント失礼いたします。

    投稿されてから、すぐ拝読させてもらったのですが、最終連で涙が溢れてしまい、
    衝動で、コメントを送るのは、とても不躾だと思ったので、少し時間をあけさせていただきました。

    実は、救急救命室(ER)にお世話になっていた時期がありまして、夜も昼も朝も、それが続いていて、入れ替わるように、ベッドが移動を繰り返していって。
    両親が見舞いにきてはくれましたが、二人とも、やはり辛そうでした。

    苦しみが、狂おしく、
    想いが、痛く、辛く、
    でも、それでも、と伝う、心地がいたしました。
    (やはり乱文すみません)

  14. @トノモトショウ
    さん。そうかも、某結婚パーティーのときにモーヌとはお初で、私が臨月で1人で行き、土俵の店でワイワイしたのはポエケットの後で、その後もポエケットでお会いしたかな。胸の大きい彼女連れてたとき。
    FPでもお世話になりましたねー。
    お互いに生きていて、こうしていられることが嬉しいです。

  15. @あぶくも
    さん。あぶくもさんとはずっと昔から知り合いだったような感覚があるのです。こちらのようなコメント頂いて嬉しすぎてにやついております。ジャンルは違えどアウトドア好きです。山的なところは子連れハイキングで年に一回行くか行かないかですけれど、あぶくもさんのお写真見て心躍りました。SOTOのストウブとカップとオニギリとインスタント味噌汁持って高尾山に行こうと目論み中。いつもはお弁当だけなんで、山でお湯沸かすのに憧れます。

  16. @こしごえ
    さん。私も現フォは同じくらい登録したような。(2004年でした)
    全然顔出してないのですが知っている人いるかしら。
    インターネットを通しているだけで相手は人ですから、特に詩人は文字同士で文字以上のものたちをやりとりできるのが嬉しいです。
    いつも読んでくださり、また、読ませてくださりありがとうございます!
    これからがあるのが素敵。

  17. @nonya
    さん。全然です!
    相変わらずの素敵な作品群で「やっぱ上手いよねー!」と夫婦でよく話しています。
    モーヌもよく、上手いなーって言っておりました。
    おすすめのカレー屋さんに行きたい行きたいと言いつつコロナとかになっちゃって。妄一会のメンバー追悼も兼ねてあの姐さんたちと飲みに行きたいですー。
    (詩のことと関係なくてすみません)

  18. @ぺけねこ
    さん。ERに?それは大変なご経験をされましたね。それぞれの人たちの心情を想像しただけで泣いちゃいます。
    この詩にとてもとても丁寧に接してくださって感動しています。ありがとうございます!
    彼の命日には読み返すことにしている詩です。これを読むと息子の不機嫌なんか余裕で許せます。

    衝動的な文章を読むのは好きです。デザインされる前の素材のようで、いいなーって。
    ぺけねこさんの衝動、読んでみたいです。

  19. いや、いらん情報ひっそり忍ばすな(笑)

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