風船頭

破裂
二酸化炭素でふくれて
しぼんで
ぱんぱんにみたされたら、
たたかれてふんずけられて、
最後にはわれて
それがこわくて
それがこわくて
だれにもみられないところで
ふかふかうかんで
そして
どこまでも
とおく

高く高く上った頭がえらくなれるという
みんな、針をもって落としあっている
自爆するものもいる
頭だけが 肥大していく
ぼくはそれをただとおくで
ながめている

ぼくはお尻が風船になってしまった
異形のものらしい
ついたあだ名は尻軽くん
せいかつは困難だ
ごはんは吐いちゃうし
あたまに血は下りるし
屁をしたら、床にたたきつけられる
ヨーヨーみたいにリズミカル

えらくはなれないらしい
べつにそれでかまわない
つちのしめっぽさしってるから
つちのあたたかさしってるから
つちのやわらかさしってるから
つちのかぐわしさしってるから
つちのにぎわしさしってるから
つちのはなやかさしってるから
つちのやさしさをしってるから
ぼくはつちがいい

天気予報では人雨降るらしい
今日は傘をさしていこう

投稿者

コメント

  1. めっちゃいいですね。

    ふかふかうかんで、人雨、などすてきな表現に嬉しくなってしまいました。
    つち、ひさしぶりにさわりに出ようかな。

  2. 辛い時期、人間はやっぱり土に触れていないといけないなぁ〜としみじみ思ったことがあります。手足を土に触れさせているだけで、微生物と交わり、またearthing効果で、人間の気持ちが安定してくるんですよね。
    自爆癖のある私なので、昨夜から今日にかけても洒落で自爆してみましたが、この詩にあるようなもっと切実な切迫した思いにもとても親しみがあります。
    私が若い頃にひとり旅に出たのも、
    「だれにもみられないところで
    ふかふかうかんで
    そして
    どこまでも
    とおく」
    行ってみたかったからだったなぁと、これまたしみじみさせてもらいました。

  3. 可愛らしい作品ですね。ひらがなが効果的に要所要所で使われていて素敵です。なんか癒されました…☆

  4. この詩はきっと、上昇志向であるところの人間を風船に喩えて風刺した作品というように解釈できるのでしょう。いろいろな高度の風船からいろいろな景色が見えそうですね。

  5. @たちばなまこと

    たちばなまことさん、コメントありがとうございます。
    救われる心地です。

    自分のなかでは、過激だったかしら、と不安が浮かびましたが、架空のイメージの助けがあればこそかもとも思います。

    つち、いいですよね。
    枯れ葉とのコラボも楽しめます。
    ぼくもさわりに出たくなりました。

  6. @あぶくも

    あぶくもさん、コメントありがとうございます。

    あぶくもさんや他の方々の詩から、詩の自由さ、ということを改めて思ったときに、ひとりひとりの想いや大切にしていること、向き合うエネルギー、内なる静謐、色々浮かんできました。
    ぼくは、なんていうか、逃げ出してきたもの、といいますか、今も逃げているんですきっと。そうするねっこはなんなんだろう、と想う日々です。
    ただ思うのは、必要なことをするのって、とても勇気がいることだよなぁって、感動があって、例えば、心配事だとか頭がもやもやしてくるのって、頭が風船のようになってるイメージがわきまして、それで綴ってみた詩なのですが、投稿するかどうかは、怖くて、躊躇していたのですが、必要としていることをする選択をする、ってところで、とりゃ、とやってみたわけです。( 乱文すぎてすみません)
    全部、自分のことをさしているんですきっと。

    旅、いいですね。
    ぼくもどこかとおくにいきたいです。

  7. @さはら

    さはらさん、コメントありがとうございます。

    可愛らしい、でしたか、、、なんだかすみません。
    でもひらがなって、なんだか可愛いですよね。なんというか、実は漢字が苦手で、書きなぐったりしてると、漢字がわかんなかったり、面倒だったりで、ひらがな多用されてしまってるんじゃなかろうかと、思います。
    しかし、癒し効果がひらがなには、なんだかありますよねきっと。
    素敵をありがとうございます。

  8. @たかぼ

    たかぼさん、素敵な解釈をありがとうございます!

    風船頭のイメージをふくらませてみたら、こんななっちゃいました。
    そうですよね、これはきっと風刺がこめられてもいるのだと、思います。
    その観点でみてみると、たかぼさんが、おっしゃるとおり、
    人はいろいろな高度を上下していて、その度に景色も考え方も状況も、変わってきて、つまり、善悪などにとらわれない、その高度での平和、みたいなものは、あるんだと思います。
    でもその一方で、落とし合うものもたしかにいて。
    きっと、上にいきたいのもあります。
    でも、下でもいい。
    その選択は、できる、はず。
    大切な、詩ですものね。
    綴ってよかったです。
    (そうおもえるうちに)

  9. 自分はどこかにピンホールの空いた風船だなって思いました。
    頑張って上昇しているつもりでも、ずるずる落ちている。
    このまま人雨の土砂降りに打たれたら、そのまま地面に真っ逆さま(笑)

    いろいろなイメージがふつふつと湧いてくるような
    ちょっと物悲しいけど楽しめる詩でした。

  10. @nonya

    nonyaさん、コメントありがとうございます!

    楽しめる詩とおっしゃっていただけて、うれしいです、ほんとに。
    なんだか私事ですが、好きなこと綴れば?という自分と、こんなの綴って何になるん?みたい自問もあったりして、そういったコメントをいただけるのは、やはりうれしいかったみたいです。(コメントするのって、難しさと勇気がいりますね)
    ピンホール、なるほどです。
    きっと、力むほどに抜けちゃうんですよね。
    たぶん、人雨用の強力な傘が、あるんだと思います(笑)

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